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新首都圏ネットワーク

『毎日新聞』2005年10月11日付

COE:131件を中間評価、4件が達成困難 文科省


 世界最高水準の研究教育拠点を大学に作るため、文部科学省が予算を重点配
分する「21世紀COE(卓越した研究拠点)プログラム」で、日本学術振興
会など4機関が運営する同プログラム委員会(江崎玲於奈委員長)は11日、
2年目の03年度採択分の5分野131件について中間評価をまとめた。4件
について「このままでは当初の目的達成は困難。計画の適切な変更が必要」と
厳しい評価を示した。

 中間評価は補助金適正配分などのため、同委員会が採択3年目に行う。5段
階評価で、今回は上から(1)「現行努力で目的達成可能」58件(2)「一
層の努力が必要」69件(3)「計画の適切な変更」4件−−だった。(3)
は06年度以降、補助金を削減する方針で、今回は計画の大幅縮小を求めたり、
計画中止を求めるケースはなかった。

 4件の内訳は▽「日本文化型看護学の創出」を掲げた千葉大▽「難病の革新
的治療法の開発研究」をテーマにした関西医科大▽「知能化から生命化へのシ
ステムデザイン」を研究している慶応大▽「知識科学」の北陸先端科学技術大
学院大。

 また、03年度採択分のうち、東京都立大が大学再編の過程で研究者が流出
し、プログラムを辞退。名古屋大が、プログラム申請時の書類での虚偽記載が
発覚したことなどから、同様に辞退した。都立大への交付額は03〜04年度
で計1億780万円、名古屋大は03〜05年度で計1億4940万円で、文
科省がそのうち05年度分の取り消し額の確定作業を進めている。

 江崎委員長は11日、中間評価について記者会見し「このプログラムが終了
した時には多分、ノーベル賞受賞者がたくさん輩出されるのではないかと期待
している」と述べた。また、金森順次郎委員は名大の件について「大変遺憾。
大学として再発防止に努めてもらいたい」と語った。【長尾真輔】

 <21世紀COEプログラム>

 文部科学省が02年度に始めた大学活性化策。大学院博士課程の専攻科を対
象に、1件につき年5億円程度を最高に、補助金を5年間出す。現在、計27
2件を採択している。COEは「センター・オブ・エクセレンス」の略。