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『東京新聞』2005年10月9日付 『純減』自衛官も対象 政府方針 独立行政法人含める 政府は八日、小泉純一郎首相が郵政民営化に続く重要課題の一つに位置づけ る国家公務員の総人件費削減で、定員削減の純減目標の対象に自衛官、国会や 裁判所の職員、職員が公務員資格を持つ特定独立行政法人も含める方向で調整 に入った。 政府は中央省庁や国の出先機関などの行政機関職員(現在約三十三万人)だ けを定数削減計画の対象としてきたが、これでは削減の余地が少なく、大幅な 純減を達成するには、日本郵政公社を除く国家公務員全体(約六十八万七千人) に削減対象を拡大する必要があると判断した。 政府は経済財政諮問会議(議長・小泉首相)を中心に議論を進め、十一月を めどに策定する総人件費削減の基本指針に、公務員純減の具体的目標を盛り込 む。 国家公務員の純減目標をめぐっては、六月に閣議決定された「骨太の方針」 の第五弾に「政府部門全体を通じた一層の純減の確保に取り組む」と明記され た。 しかし、さまざまな職種に分かれた公務員のうち、「政府部門」が具体的に 何を指すのかが明確になっていなかった。 国の行政機関は、一九六〇年代後半からの定員削減計画に加え、国立病院、 大学の独立行政法人化などで定員削減が進んでおり、官僚機構にはこれ以上大 幅に削減する余地はないとの空気が強い。 しかし、諮問会議の民間委員は「五年間で5%」、首相も「十年間で20%」 の純減を掲げ、大幅削減圧力が強まっている。このため、造幣局や国立の病院、 博物館、美術館などの特定独立行政法人なども加えた範囲に削減対象を広げる ことにした。 ■解説 首相の実行力 カギ 政府が国家公務員の純減対象を拡大する方向で調整に入ったが、実現するに は難題が多い。 政府がこれまで削減対象としてきたのは、行政機関職員(現在約三十三万 人)。小泉純一郎首相が自民党に指示した「十年で20%の純減」を達成しよ うとすれば、十年間に六万六千人を減らさなければならないが、行政機関職員 は「削れるものは削ってきた」(政府関係者)。 このため、削減対象を自衛官(二十五万人)や、行政府以外の国会、裁判所 の職員(計三万人)、特定独立行政法人(七万人)にも広げるのは苦肉の策と もいえる。 ただ、独立行政法人は人員管理を含めて自主運営を原則としており、政府が 頭越しに純減対象に加えることに抵抗が起きるのは必至だ。 国会や裁判所からも「行政府が立法府や司法に口を出すのは三権分立に反す る」といった反発が出ることも予想される。自衛官の人数は安全保障政策と密 接に絡み、これも容易ではない。 大幅削減を断行できるかどうかは、結局首相の実行力にかかっている。 (政治部・高山晶一) ■メモ <純減目標> 国家公務員の定員削減にあたり、削減数から治安、徴税など 必要部門での増員分を差し引いた実質的な削減目標。政府の定員削減計画には 増員分は含まれていなかったため「まやかし」と批判されてきた。政府は11 月をめどに策定する人件費削減の基本指針に、2005年度から5年間の純減 目標を初めて盛り込むつもりだ。 |