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『朝日新聞』2005年10月9日付 大学の有望技術、中小企業に 大手行、紹介事業に意欲 新商品開発のきっかけを探す中小企業に対し、大学で研究中の有望技術を紹 介する事業に大手銀行が熱心に取り組み始めた。新たな収益源と期待する中小 企業を顧客として囲い込む際の切り札になるからで、大手行は専門の担当部門 を設けるなどして大学との関係強化を競い合っている。 「私たちが開発した二酸化炭素吸収剤は、ずば抜けた力があります」 三井住友銀行の子会社・SMBCコンサルティングが9月下旬に東京都内で 開いた交流会で、中小企業経営者ら約70人に大学の研究者が盛んに実績をア ピールしていた。 ただ産・学双方に顔をそろえてもらう、という催しではない。事前に三井住 友の担当者が中小企業に具体的に欲しい技術を調査。それに見合った大学の研 究者を探し出し、発表してもらうのが特徴だ。 三井住友は3年前、大手行では初めて、産学連携のための専門グループを設 置。すでに東京工業大や浜松医大など6大学と提携した実績がある。 交流会は昨年11月に始めた。電子部品設計用のシミュレーターなどで、メー カーと国立大の間で成約に至った共同研究は3件。それらの研究費は計約10 00万円になる。 銀行は仲介した技術が商品に結びついた際に手数料を得るほか、生産に入っ た企業への融資で稼ぐ考え。三井住友は「新しいビジネスのための先行投資」 (勝本健治グループ長)と意気込む。 東京三菱銀行も、筑波大と産学連携協力の「協定書」を交わした。筑波大が 主催した中小企業向けの科学技術相談で、同行の取引先5件を紹介。11月に 同行が開く商談会には筑波大が技術を出展する計画だ。さらに、付属病院での クレジットカード決済業務をはじめ、大学にも金融サービスを提供する方向だ。 りそな銀行は関西大と昨年11月に包括的連携協定を締結。300億円の基 金を設け、産学連携に賛同する企業に融資し、その残高の0.1〜0.01% を関西大に寄付する計画で、来年2月末まで融資先を募集している。 |