トップへ戻る  以前の記事は、こちらの更新記事履歴
新首都圏ネットワーク

『読売新聞』大阪版 2005年10月8日付

京都中心に宗教系大学院連合、宗教超え単位互換


 龍谷大(浄土真宗系)や同志社大(キリスト教系)など京都を中心とした宗
教系大学の大学院が「京都・宗教系大学院連合」を設立したことが8日、わかっ
た。国際化への対応や、魅力ある大学づくりが求められる中、宗教・宗派を超
えて互いに宗教科目を履修できる単位互換制度を来年4月から全国で初めてス
タートさせる。お坊さんが聖書を読み、牧師が仏典を学ぶ。宗教都市・京都で
〈心の時代〉を探る新たな試みに期待が集まる。

 参加するのは、龍谷大、同志社大のほか、浄土真宗系の大谷大、浄土宗系の
佛教大、真言宗系の種智院大、(いずれも京都市)、同じく真言宗系の高野山
大(和歌山県高野町)の6校。

 今年早々、同志社大の呼びかけで作った準備委員会で協議し7月末、正式発
足。詰めの作業を続けていた。

 同連合発足のきっかけは、異なる宗教と接したり、共存したりする機会が増
えてきたため。欧州連合(EU)に、イスラム教徒の多いトルコが加わろうと
する時代で、大学院連合事務局長を務める同志社大の小原克博教授(比較宗教
倫理学)は「異なる宗教の人々を理解するには、宗教的な知識も身につけてい
る方がいい。ほかの宗教、宗派を学ぶ必要性はますます高まる」と話す。

 発足のもう一つの理由は、少子化で冬の時代を迎えた大学の経営環境だ。国
立大学が法人化し、付加価値の創造にしのぎを削る一方、宗教系の大学は横の
つながりが希薄だったとし、京都に関心を示す海外の宗教学者らの受け入れも
十分ではなかったという。

 危機感を募らせた各大学院はそれぞれの宗教、宗派の特色を生かし、次世代
の宗教研究者やリーダーとなる人材の育成を図ることで合意。来年4月から宗
教的知識や教義を学んだ大学院生を対象に、単位の互換制度を始める。今後、
他の宗教系の大学院にも参加を呼びかけ、国内外の研究者らと交流を図り、講
演会を開く。

 武田龍精・龍谷大教授(宗教哲学)の話「仏教界では宗派間の対話も少ない
のが現状。ほかの宗教、宗派がともに地球環境や平和に取り組む時代だ。大学
と宗教という京都の魅力を世界にアピールできると思う」