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新首都圏ネットワーク

『朝日新聞』2005年10月5日付

広島大病院、不適切な会計処理7億円 会計検査院が指摘


 広島大学病院(広島市)と佐賀大学医学部付属病院(佐賀市)が予算を使い
過ぎたため、薬品代や注射器などの医療材料費が支払えず、請求書の日付を偽
造するなどして翌年度の予算で穴埋めしていたことが会計検査院の調べでわかっ
た。不適切な会計処理は、広島大が累計で約6億9000万円、佐賀大が約8
100万円に上ったという。検査院の指導を受けて、両大学は未払い金を全額
業者に清算した。

 国立大医学部の経理をめぐっては、93年に東大など10大学で約82億円
の不正が発覚し、当時の文部省が法令に従い契約を実行するよう指導。今回、
広島大は関与した22人を、佐賀大は4人の職員を訓告や厳重注意の処分にし
た。

 広島大財務部によると、99年から建設を始めた入院棟(11階建て、74
0床)の開院に向けた設備投資や、新型肺炎「SARS」の指定病院としての
準備費に想定以上の経費がかさんだ。このため、医薬品代などをこれらの費用
に充ててしまい、業者への支払いができなくなったという。

 病院側は、大口の取引業者数社に相談し、支払いを翌年度回しにしてもらう
ことを依頼。日付欄が空白の見積書や請求書を業者から提出させ、担当者が翌
年度の適当な日付を書き入れ、それに見合うよう帳簿やパソコン内のデータも
改ざんした。

 不適切な処理は99年度が900万円だったが、03年度は4億4800万
円までふくらんだ。

 財務部によると、担当職員に不適切だという認識はあったが、予算の把握が
不十分で経費節減もうまくできなかったという。

 一方、佐賀大学医学部付属病院は03年度に業者に支払うはずの8100万
円分を翌年度に繰り越した。予算の把握と医薬品の在庫管理が徹底していなかっ
たためという。

 04年度に国立大学法人になる前は、国立大の病院の予算は単年度の執行が
原則で、検査院は「事実と異なる会計経理を行い、年度を越えて代金が支払わ
れている事態はおかしい」と指導した。

 朝日新聞の取材に対し、広島大学病院は「職員への注意喚起が不十分だった
と反省し、適切な予算管理ができるよう対応していく」。佐賀大学医学部付属
病院は「このような事態は誠に遺憾で再発防止に努めたい」とコメントしてい
る。