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新首都圏ネットワーク

『読売新聞』2005年10月1日付

法人化後の初決算、84国立大で資産算出ミス


 昨年4月に法人化し、今年最初の決算をまとめた89の国立大学のうち84
大学が、財務諸表に示す資産の額を誤って算出していたことが、会計検査院の
指摘により文部科学省が行った調査で判明した。

 ミスの総額は、検査院が確認した28大学分だけで計約400億円に上ると
いう。法人化前の建物の増改築や取り壊しが資産評価に反映されていないケー
スや、金額のケタを間違えるなどの初歩的なミスばかりで、各大学とも今年6
月末の財務諸表の提出期限前に“駆け込み修正”していた。

 国立大学法人は、同法人法に基づき、法人化前に国の所有だった大学の土地
建物や物品を資産として承継し、その評価額を資本金の一部としている。

 文科省によると、昨年11月からの検査院の検査で、最初にミスが見つかっ
たのは宮崎大。法人化前の2003年、宮崎県清武町にある医学部の総合研究
棟を増築したが、その際設置したエレベーター(1800万円相当)を承継資
産に含めていなかった。

 その後、検査院の調べなどで続々とミスが判明。名古屋工業大では、01〜
02年度、実験棟や研究棟など校舎4棟を耐震補強や内装整備の目的で大規模
に改修したのに、それを資産とみなしていなかったため、資本金額が実際より
20億円以上も少なくなっていた。

 承継資産額の数字のケタを間違えるケースも目立った。山形大では、245
2万円の設備の資産評価額を、245万円と記入。神戸大でも455万円を4
5万円とするミスがあった。

 各大学の財務諸表は、提出期限の今年6月末までに修正されたうえで、8月
末に公表された。文科省は「申し訳ない事態だと思う。故意に虚偽記載したわ
けではないが、国民の資産を預かっている責任を果たせていなかった」と話し
ている。