|
『京都新聞』2005年9月27日付 京大、事務組織再編に揺れる 「企業型改革」と反発の声も 京都大が事務組織の大規模な再編計画を進めている。学部単位で行っている 事務や定型的業務を全学で一元化して処理する部署を新設するなど、大幅な効 率化とサービスの向上が狙いだが、民間企業型の「改革」手法に京大職員組合 や一部の部局長が反発。10月に予定していた計画の部分実施は今冬以降にず れ込む見通しだ。 国立大は法人化に伴う人件費削減に加え、厳しい大学間競争のなかで教育支 援や産官学連携など業務が拡大している。 こうした流れに対処するため、京大は5月に定めた事務改革大綱で一部業務 のアウトソーシング(外注化)や一元集中化などの方針を決定。事務局の経営 企画部門と教育研究部門を10月から分離するほか、経理や科研費の申請といっ た一般事務を集中処理する「センター」を来春新設する−という改革案を9月 上旬に示した。 「センター」について京大は「学内に設立された企業」などと説明するが、 詳細は明かしていない。 私立大では近年、関連会社をつくり、キャンパスの管理、学生生活の支援な どの業務委託や非常勤職員の人材派遣を担わせて合理化を図る動きが相次いで おり、方向性は近いとみられる。 これに対し、京大職組は「改革は必要だが、抽象的な方向性だけ示して認め させ、詳細を出さないやり方は強引だ」(石田茂光書記長)と反発。一部教員 からも「伝統の学部自治を壊しかねない」「教員の雑務ばかりが増え、研究に 支障が出る」と批判が出ている。 京大は強力なリーダーシップで事務再編を進めてきた本間政雄副学長が9月 末で任期切れを迎えるが、特別に半年間の期限で非常勤理事・副学長に任命す る方針で、本年度中に改革を推進する構えだ。本間副学長は「京大が世界水準 となるために責任を持って改革に取り組む」と話している。 |