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新首都圏ネットワーク

『朝日新聞』2005年9月27日付

職員5千人リストラ、採用は凍結 大阪市役所が改革案


 大阪市の市政改革本部(本部長・関淳一市長)は27日、87項目からなる
「市政改革マニフェスト案」を発表した。06年度から5年間、新規採用を原
則凍結し、5000人を超す職員を削減するほか、公共事業費などの抑制で予
算規模を5年間で2250億円縮小するなどの数値目標を打ち出した。首長選
挙に臨む候補者ではなく、自治体自身がマニフェストをつくるのは異例。ヤミ
退職金・年金など、一連の職員厚遇問題で失った信頼回復を目指す。

 マニフェスト案発表に先立ち、大阪市の主な外郭団体の見直しを進めてきた
市監理団体評価委員会も、07年度までに現在66ある団体数を22削減する
よう求める提言を発表した。マニフェスト案とともに、市政改革の柱となる。

 関市長は27日夕の記者会見で、「固い決意でやりきりたい。新しい大阪市
の未来に向けた発射台だ」とマニフェスト実現への決意を語った。今回の案は
市議会での審議を経て、11月までに正式決定される。

 予算削減の内訳は(1)人件費や外郭団体への委託料を含む経常経費を5年
間で2割、900億円(2)公共事業費を5年間で1100億円(3)地下鉄
やバスなどの特別会計への繰出金を3年間で250億円。

 市の借金である市債の残高が普通会計で2兆8000億円(03年度末)に
のぼる財政の健全化を目指し、07年度の市債発行水準を92年度以前の水準
である800億円まで減らすことを目指す。

 職員削減では、5年間で見込まれる6000人の退職者に対し、新規採用を
消防や教員など1000人に抑制して、5000人超を削減する。さらに、管
理業務の集約や民間委託で数百人規模を削減し、50歳からの早期退職制度も
導入する。市立大学の独立行政法人化に伴う身分の移行を含め、現在約4万8
000人の職員を3万人台にすることを目指す。

 大阪市の職員数は人口1万人当たり180人を超え、14の政令指定都市の
中で一番多い。非効率な行政運営の象徴となってきた職員数を減らすことで、
スリム化をアピールする。

 ヤミ退職金・年金やカラ残業の発覚を踏まえ、市政の透明化を図るため、情
報公開や法令順守の徹底を盛り込んだのも特徴だ。議員や団体など外部からの
「口利き」をすべて記録するほか、不正を監視する市長直属の外部委員会を設
置、内部通報制度も導入する。

 労使の癒着が職員厚遇の一因との反省から、「組合との関係の見直し」も掲
げ、不透明な労使協議を排除し、交渉の経過や結果は市のホームページで公開
するとした。

 外郭団体の見直しでは、市立芸術創造館を運営する大阪都市協会など7団体
を解散し、業務内容が似ている13団体を6団体に統合・再編するとした。

 水族館「海遊館」を運営する大阪ウォーターフロント開発など5団体は、出
資比率を引き下げて主な外郭団体としての扱いをはずす。市が外郭団体に出し
ている委託料は、07年度までに04年度比で約3割、280億円を削減する。