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新首都圏ネットワーク

『産経新聞』2005年9月22日付

養護教員の調整給全廃へ 府教委、年平均58万円
「一般校と負担に差ない」


 大阪府教委は二十二日までに、養護学校や養護学級の教員に対して、一般教
員の給料に加算して支払っている「調整額」(一人当たり年額平均約五十八万
円)を平成十九年度から全廃する方針を固めた。来年度は経過措置として二分
の一に減額する。教員の各種手当などの見直しは全国的に進められているが、
養護教員の調整額が廃止されれば全国で初のケースとなり、他の自治体にも影
響を与えそうだ。

 調整額は、養護教員が一般校の教員と勤務条件を比較したとき、同一給料で
は不均衡であると認められる場合に、その特殊性に基づき給料月額のほかに調
整給として支給するもので、退職金やボーナスの基礎にもなる本給の一部。府
教委によると、十六年度は養護学校と養護学級の教員計約六千二百人に対して
一人当たり年額平均約五十八万円、総額約四十三億円を支給した。

 これまでは国に準じて支給してきたが、国立大学の独立行政法人化に伴う法
改正で教育公務員特例法の国準拠規定が削除され、昨年度から都道府県が独自
に決めることができるようになった。

 また、府人事委員会が昨年十一月に、養護教員の調整額や各種手当の支給を
見直すよう求めていた。

 こうしたことを受けて、府教委は調整額などの見直しに着手。相当数の教員
を配置している養護学校や養護学級と、いじめなどさまざまな問題を抱えてい
る一般校の教員の負担を比較した場合、養護教員の勤務条件が「給与にこれだ
けの優遇差をつけるほど著しく特殊とはいえない」と判断した。

 さらに、大阪の場合、公立小・中学校への養護学級の設置率が全国平均(5
9・8%)を大きく上回る97%にのぼり、在籍生徒数も養護学校より多いと
いう特徴がある。養護学級では障害をもつ児童・生徒に対する教育は学級担任
だけでなく教職員全体で取り組んでいることから、「養護学級担当教員のみへ
の調整額支給は他の教員との均衡を欠く」(府教委)などとして、廃止の方針
を固めた。

 また、府教委は工業や農業などの実習授業を担当する教員対象の「産業教育
手当」についても来年度から、給料の10%を加算する定率制(一人当たり月
額平均三万五千八百二十四円)から月額二万千円の定額制に見直す。

 十六年度は八百三十一人に対して総額約三億五千万円を支給しており、見直
しにより年間約一億円の削減が見込まれるという。