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新首都圏ネットワーク

『富山新聞』2005年9月22日付

富山医薬大に企業研究所 抗体開発、研究交流も


 富山医薬大の実験施設に来月、富山市のベンチャー企業が研究所を構える。
同大の研究 をもとに設立されたエスシーワールド(末岡宗広社長)で、がんや
感染症の抗体開発を進 める。同大では学内研究を優先させる立場から外部から
の入居を認めたことはなかったが 、大学発の企業を育てる立場から協力を決め
た。

 エスシーワールドが入るのは、富山医薬大の生命科学先端研究センター遺伝
子実験施設 で、実験室一つを賃貸する。

 同大の実験施設は規定の使用料を払えば、学外の研究者でも利用できるが、
入居まで認 めたことはなかった。大学側では限られた部屋を空けるために教官
間の調整を行い、今月 に開いた施設運営委員会で受け入れを決めた。

 エスシーワールドは富山医薬大、富大、北陸先端科学技術大学院大学の教授
らが「とや ま医薬バイオクラスター」事業の研究成果を基に二月に設立した。
中心になった村口篤富 山医薬大教授が会長を務め、県内企業も出資している。

 同社によると、抗体開発では遺伝子を扱うため、通常の建物以上の安全基準
が求められ る。自前で施設を建てると十億円以上が必要で、医薬大の施設が使
えることで資金面の負 担が軽減された。DNA検査解析器など最新機器を備え
る利点もある。自前の設備も導入 し、研究員四、五人態勢で研究所を運営する。
大学とは一年契約だが、開発拠点として今 後も使用を希望している。

 富山医薬大生命科学先端研究センターの津田正明センター長は「学内の研究
から生まれ たベンチャー企業が成功すれば、他の研究者の励みになる。民間の
研究者との交流にも期 待している」としている。