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『富山新聞』2005年9月17日付 富山医薬大医学科に「県内枠」 20人めどに優遇措置 富山医薬大が新「富大」医学部医学科の入試で、富山県内の受験生を優遇す る「地域枠」を設ける方針で検討に入った。定員の約二割に当たる二十人程度 を予定し、二〇〇七(平成十九)年度からの導入を目標に、教授会内で入試懇 談会を設置して案を練っている。高校の進路指導部などと連携を取りながら、 富山で育った医療人が古里に定着するよう努めていく。 富山医薬大医学部医学科は現在、前期日程で六十人、後期日程で三十人を入 学定員としている。薬学部と医学部看護学科は推薦入試を実施しており、医学 科も一九八九(平成元)年度から九七年度までは推薦入試を行っていたが、 「推薦、一般それぞれの試験を経て入学してくる学生の人物像に差異がなく、 推薦枠を設ける利点があいまい」(同大入試課)などの理由から廃止した。 同学部教授会が近年の学生の動向について調査した結果、富山県出身の入学 者は平均十二人で、卒業生は半数以上が県外の病院に勤務する進路を選んでい ることが分かった。倉知正佳医学部長は「県内の高校が地域医療を担う人材を 育てる場に、優れた生徒を送り出してほしい。現状では人材の空洞化が進むば かりだ」と地域枠導入の狙いを指摘している。 推薦入試を復活させて地域枠とするか、指定校制にするか、人数は二十人で いいのか、試験科目や面接、小論文などの入試方法はどうするかなど、懇談会 で論議を重ねて具体的な方針を固めていく。県内の高校からの富山医薬大を含 めた医学部進学率は富山、富山中部、高岡のいわゆる「御三家」が高いが、倉 知学部長は「進学校を指定校とせず、幅広い高校から人材を集める方がいいの では」との見解を示している。 全国では信州大、札幌医大、岩手医大など僻地(へきち)の医師不足が深刻 な七つの国公私立大が既に地域枠を設けている。来年度入試では弘前大や宮崎 大など六つの国立大で導入が決まり、北陸では金大が〇八年度の導入をめどに 検討している。すでに導入している大学は、いずれも推薦で五―二十人を受け 入れている。 |