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『朝日新聞』2005年9月13日付 解雇の紛争、金銭で解決 「労働契約法」で研究会が提言 労働条件の決定や労使間の紛争解決のルールを定める「労働契約法」の制定 を目指す厚生労働省の研究会(座長・菅野和夫明治大教授)は12日、解雇を 巡る労使間の紛争に、使用者が金銭を支払うことで解決を図る仕組みの導入な どを提言した報告書をまとめた。厚労省は今後、労使などによる労働政策審議 会で議論し、07年の通常国会への法案提出を目指す。 バブル経済崩壊後にリストラが進み、成果主義の導入やパートなど非正規社 員が増える中、解雇や労働条件の切り下げなどで労使間の紛争が増加。厚労省 によると、全国の労働局などで受け付ける労使間の民事紛争相談は04年度は 約16万件を超え、相談開始直後の02年度より約6割増えた。 こうした現状から厚労省は、労使が対等な立場で話し合うことで労働条件を 決定、変更できる法律を検討している。 報告書では新法を、採用から退職までの労働契約の手続きを明確にする民事 ルールと規定。全国一律に労働条件の最低基準を定めた労働基準法のような罰 則や行政による監督指導は設けず、労使の自主的な取り組みに委ねた。 就業規則など労働条件の決定・変更を協議する場として事業所ごとに「労使 委員会」を設けることも提言したが、既存の労働組合の活動を阻害しない仕組 みとすることも付記した。 解雇を巡って紛争となった場合の金銭解決の制度については、解決金額の基 準について事前に労使間で取り決めがある場合には、使用者側からの金銭解決 の申し立てを認めるとした。ただし、人種、国籍、信条、性別を理由とする差 別的解雇や、有給休暇の取得など労働者の正当な権利の行使に対する解雇には 適用しないとしている。 本採用前の試用期間については新法で期間の上限を定める。転籍させる際は、 転籍先の業務や財務内容、労働条件などを使用者が労働者に書面交付して同意 を得ることも盛り込んだ。 |