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『琉球新報』2005年9月9日付 琉大 研究費配分に格差 緊縮財政しわ寄せ 2004年に国立大学法人化した琉球大学(森田孟進学長)で、大学運営交 付金を毎年1%ずつ削減する「経営効率化係数」導入に伴う緊縮財政で、研究 費へのしわ寄せが表面化している。法人化前は平等に配分されていた研究費の うち約3割が、成果などによって配分額が決められるようになった。このため、 沖縄の歴史についてより詳しく記され、地域の教育に役立つものと期待されて いる「地域版教科書開発」への助成も認められなかった。 このほど助成金の配分が決められた「教育・研究・診療・学生支援プロジェ クト経費」のうち「中期計画実現推進経費」では、助成対象となる研究の選別 をめぐり、助成対象外となった教員から「どんな研究が対象となり、対象とな らなかったのか、その理由も含めて情報がほしい」などの声が上がった。 同経費は、500万円未満を上限に、大学の中期計画の実現に役立つ研究な どに対し、学長と理事の裁量で1億円の枠内で研究費を助成している。 2005年度は、各学部や部局から110件・4億2500万円の申請があ り、学長と理事による2日間の集中審議を経て41件への助成が決定した。 7件の申請すべてが助成対象外となった法文学部の教授は「次回に向けてど ういう申請をすれば助成してもらえるのかを知る上でも、もう少し情報がほし い」などと現システムの問題点を指摘。また「地域版教科書開発」で455万 円の助成申請をし、対象外となった教育学部の高嶋伸欣教授は「110件に均 等に助成できないというのは分かるが、誰が見てもわれわれのプロジェクトよ り助成対象となった研究の方がより中期目標に合致したものであるということ が分かるように示してほしい」と、選考過程の明確化を求めた。 法人化の中で競争的資金が導入され、1億円という決められたパイの中で研 究を助成するしかない苦しい台所事情。同大財務部は「基準や項目を設定し、 点数化することにより、選考に客観性を持たせることも考えていくことになる だろう。要望があれば、ほかの申請についての情報も公開する方向で前向きに 検討したい」と話し、情報開示で理解を求めていきたい考えだ。 |