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『科学新聞』2005年8月26日付 18年度予算 科技振興費 減額へ シーリング決定影響 ここ数年、増えてきた科学技術振興費だが、18年度予算では減額になる可能 性が高い。郵政民営化法案などで遅れていた平成18年度概算要求基準、いわゆ るシーリングが11日の閣議で決まり、科学技術も聖域ではなくなったためだ。 第3期科学技術基本計画の初年度となる今回のシーリングは、基本計画の数 値目標設定にも影響を与える重要な意味を持つ。 今回のシーリングのポイントは3つある。(1)科学技術も含め裁量的経費を3 %減額する。(2)3%減額した状態から2割増の要望ができる。(3)重点化促進 加算特別枠1000億円を省庁に関係なく良い提案に重点的に配分する。 17年度の科学技術振興費は1兆3170億円で、16年度と比べ2.6%増えた。しか し、18年度は約300億円を切り込まれている中で要求していくため、17年度と同 額を実現するためには、特別枠の中から約3割を確保しなければならない。総 合科学技術会議の事務局では「全力で予算確保に努力していきたい」としてい るが、特別枠で重視されるのは、基本方針2005(経済財政諮問会議)の重点4 分野。(1)人間力の向上・発揮—教育・文化、科学技術、IT、(2)個性と工夫に 満ちた魅力ある都市と地方、(3)公平で安心な高齢化社会・少子化対策、(4)循 環型社会の構築・地球環境問題への対応。非常に多岐にわたるため、その3割 を確保できるかどうかは難しいだろう。 財務省の中川真・主計官(文部科学担当)は、本紙のインタビューに対して 「世界一流の研究で国際競争力を発揮できるようなものには予算をつけていき たい」と話している。(中川主計官のインタビューは次号に掲載) |