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新首都圏ネットワーク

『薬事日報』2005年9月2日付

「質の高い薬剤師養成へ」来年度概算要求まとめる
文部科学省

《「支援プログラム」計画》

 文部科学省は8月30日、2006年度予算の概算要求をまとめ公表した。
一般会計の要求額は6兆2746億円で、05年度当初予算に比べ5414億
円、9・4%の増額である。薬学教育6年制が来年度にスタートする関係から、
質の高い薬剤師養成教育への取り組みを支援する「6年制薬学教育支援プログ
ラム」を新規に立ち上げるべく4億8000万円を要求した。また、重点4分
野の一つとして位置づけられているライフサイエンス関係では、蛋白質の解析
技術開発などの新プロジェクトも含め855億8600万円を要求、今年度の
833億7300万円に比べ、22億円余の増額要求となった。

【ライフで新プロジェクトも】

 薬学教育関係では、来年度からの薬学教育6年制スタートに伴い、6年制の
薬学部・薬学科を持つ大学等を対象とした、教育支援プログラムを新たに立ち
上げて、薬学教育6年制の充実・活性化を図っていく方針である。

 支援プログラムでは、[1]コミュニケーション能力の発揮や倫理観を持った実
践的な薬剤師の養成[2]医療薬学教育の充実――といったテーマを決め、これら
のテーマに沿った教育を実践する大学等を公募する。その中から優れた取り組
みを実施している大学を選定し、財政支援を行うもの。大学が、財政的な支援
を受けて取り組みを充実・強化させ、最終的には他大学へも普及させることに
より、全体的なレベルアップを図ることが狙いだ。

 今後は、12月の予算編成を経て、公募要領などの詳細を詰める。文科省医
学教育課によると、現時点では15大学程度を選定し、支援期間は3年を目安
に考えているという。また大学の選定は、有識者や薬学教育関係者などで構成
される選定委員会を組織して行う。委員会の立ち上げも含め、1年目となる0
6年度は、支援する大学を決めるまでに半年ぐらいの期間がかかるものと想定
されるが、医学教育課では「できるだけ早く進めたい」としている。

 一方、ライフサイエンスの分野では、ヒトゲノム解読の成果等を踏まえ、わ
が国の強みを生かしながら、世界に先駆けた研究分野へ重点的に取り組むと同
時に、基礎的・先端的な研究を積極的に推進する方針である。

 この中では新規要求として、「タンパク3000プロジェクト」の成果を活
用し、生命現象において重要な役割を果たし、かつ解明が極めて困難な蛋白質
の解析技術に、11億5000万円を計上した。

 また、テーラーメード医療や再生医療の実現に向けた研究開発、ゲノムネッ
トワーク研究、新興・再興感染症や分子イメージング技術の研究開発も着実に
推進する計画だ。

【知財戦略を強化】

[産学官連携も推進]

 知的財産戦略の強化及び産学官連携の推進によるイノベーションの創出には、
375億8700万円(39億円増)を要求している。知的財産の創出と活用、
大学との共同研究促進、大学等の研究成果を基にした独創的な新技術開発やベ
ンチャー企業の創出等を図ると共に、それを支える人材の育成・確保を推進す
るための施策を一体的に推進していく。

 このうち知的財産戦略の強化(要求額59億5500万円)では、大学及び
技術移転機関等における知的財産の創造・保護・活用を総合的に支援する観点
から、[1]大学知的財産本部及びスーパー産学官連携本部の充実・強化[2]大学
等において機関帰属される研究成果の特許化――などを推進する。

 産学官連携の推進(316億3200万円)では、基礎研究から企業化に至
るまでの研究開発支援の不足を克服するため、大学等の研究成果に基づく大学
発ベンチャー企業の創出と、事業展開に必要な研究開発を推進するほか、産学
官連携による共同研究を一層促進するため、マッチングファンドの実施等に取
り組んでいく考えである。