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新首都圏ネットワーク

nikkeibp.jp 2005年09月01日付

経団連、ポスト21世紀COEとして先端技術融合型COEを提案


 日本経済団体連合会の産業技術委員会産学官連携推進部は、現在内閣府が作
成中の第3期科学技術基本計画に対して次期COE(センター・オブ・エクセレン
ス、卓越した研究拠点)として産学が協力してつくる「先端技術融合型COE」を
提案していると説明した。これは、2005年8月31日に経済産業省が東京都千代田
区で開催したワークショップ「産業界のニーズに応える大学とは」の中で、経
団連の産学官連携推進部の山野井昭雄部長(味の素顧問)が講演の中で解説し
たもの。

 先端技術融合型COEは、日本が科学技術創造立国を実現するには、技術の種
(シーズ)を産み出す知の創造を大学が担うために、大学・大学院は世界的に
トップレベルの研究拠点となるCOE整備が不可欠と主張する。現在、文部科学省
は平成14年度(2002年度)から「21世紀COEプログラム」施策を始め、有力な大
学院にCOEをつくる支援策を実施している。経団連は、この21世紀COEプログラ
ムの後継COEプログラムとして、先端技術融合型COEを提案している。

 21世紀COEプログラムは、大学・大学院によるCOE作成の施策であるのに対し
て、先端技術融合型COEは産学が協力し、10年先をにらんだ先端的技術領域を設
定し、産学が協力してCOEをつくる点が新しい。主役は大学・大学院である点は
同じだが、既存の学問領域でなく、新しい融合領域を開拓するCOEを設立するに
は、産学の協力の下に知的融合と人的融合を図ることができる新しいCOE組織に
することが不可欠という。

 先端技術融合型COEの提言は、2004年11月16日に経団連が第3期科学技術基本
計画に対して提言した「科学技術をベースにした産業競争力の強化に向けて」
の中で、日本の研究開発体制構築に対する提言として提案しているもの。この
提言内容の詳細を知らない大学・大学院教員が実際にはかなり多く、ワーク
ショップ「産業界のニーズに応える大学とは」では大学教員や学生から、先端
技術融合型COE提言に対する質問が続いた。

 先端技術融合型COEは、現在の大学・大学院の既存の学部・学科を超えて、有
能な教員を結集させ、世界中から優秀な教員や研究者が集まるCOEを目指す。こ
うしたCOEができれば、産業界はこれまで海外の大学・大学院のCOEに人を派遣
し、優秀な教員・研究者から刺激を受けるのが目的だったが、日本に先端技術
融合型COEができれば、ここに人を派遣するとする。同COEは人材育成機能を併
せ持つ点も特徴になっている。また、同COEを運営するマネジメント人材は、産
(企業)側から供給するとの提案もしている。(丸山 正明=産学連携事務局
編集委員)