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新首都圏ネットワーク

『朝日新聞』2005年8月31日付

国立大定員、教員課程を7校拡充 大量退職控え方針転換


 文部科学省がまとめた来年度の国立大学の定員で、全体が前年度比92人減
の9万6393人で12年連続減少となるなか、7校が教員養成課程の定員を
拡充し、計558人の定員を増やすことがわかった。ほとんどが先生の需要が
高まっている関東・近畿・東海の大学だ。文科省は、教員養成を大学経営の柱
として力を入れる傾向は他の国立大や私立大にも波及していくとみている。

 大学の教員養成課程の定員をめぐっては、文科省が3月末、これからの教員
の大量退職を控え約20年間続いてきた抑制措置を撤廃したばかり。それを受
けて、教員養成課程の定員のあり方を見直す大学が増え始めたとみられる。現
在、教員養成課程を持つのは47大学ある。

 定員を増やしたのは、埼玉、愛知教育、三重、滋賀、京都教育、奈良教育、
岡山の7大学。学校全体の定員枠は一定なので、いずれも教育学部の中に設け
ていた教員免許取得を必須としない新課程(ゼロ免課程)の定員を振り分けた。
7校のうち、埼玉、京都教育、岡山は、新課程を廃止して教員養成課程に特化
する。

 教員の年齢構成は、第2次ベビーブーム世代が入学した時期の大量採用期な
どを経て、40〜50代の層がふくらんでいる。このため、文科省は少子化に
よる需要減もあって今年になるまで教員養成課程の定員を抑制。98〜00年
度の3年間に定員を5000人近く削減し、いまは総定員が約1万人でピーク
時から半減した状態になっている。

 ところが、全国の公立小中学校で定年を迎える教員数は、07年度末には約
1万4000人にのぼり、18年度末には約2万5000人でピークに達する
とみられる。特にここ数年、地方に先駆けて多くの教員が退職し始めた都市部
で、新規採用数が急増していた。