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新首都圏ネットワーク

知財情報局 2005年8月29日付

産学官研究交流促進等のための検討会報告書、文科省発表


 研究振興局研究環境・産業連携課はこのほど、国立大学の法人化改革を、産
学官連携の発展などでより意義のあるものとするための報告書『産学官研究交
流促進等のための検討会報告書〜組織のサポートを連携・交流に生かす〜』を
公表した。研究振興局の下に設置された「産学官研究交流促進等のための検討
会(主査=小寺山亘・九州大学副学長)」がまとめた。関係各機関の実務者が
同報告書を参考することで、産学官連携・交流がより一層進展することが期待
されるという。

 この報告書では、大学・公的研究機関の法人化後、一見順調に進んでいるよ
うに見える事柄や、この法人化改革で解決されたかに見える課題に焦点を当て
てまとめられた。共同研究、知的財産関連の課題、大学発ベンチャー、人材育
成・交流など具体的な事項について現状の課題を挙げ、その対応策を示してい
る。

 まず共同研究に関しては、大規模な産学協同プロジェクトの件数がごく少数
にとどまることを受け、人件費の確保、守秘義務の徹底なを明確にするなど、
産学協同で綿密に戦略を策定できる環境の構築をすべきだとした。中小企業と
の共同研究では、大学の知と中小企業のニーズが合致しない場合が多いことに
触れ、コーディネーターの活用、公設試験研究機関の機能の活用などを示して
いる。

 さらに知的財産関連では経験のなさを課題とし、事例の蓄積や共有化、人材
不足の解消を早く進めるべきだとした。特に、法務機能の充実を要望している。
大学発ベンチャーに関しては起業数の低さを指摘し、政府による多面的な施策、
技術リスクを考慮できるベンチャーキャピタルの成長、利益相反問題の解決を
促した。人材の交流・育成の課題は研究者の流動化を促すための経済的な弾力
性、修士・博士課程学生の長期インターシップなどの活用を進めることが望ま
しいとしている。

 このほか、法人化が進むと各研究機関の研究機器などの資産の減少が見込ま
れ、共同利用体制の構築も今後の課題になると指摘する。共同利用や国立大学
財務・経営センターの「リユース情報提供システム」の活用などを勧めている。