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『東京新聞』2005年8月28日付 国立大学に“学割監査” 信頼性揺るがす恐れ 独立行政法人となった国立大学の財務状況をチェックする監査法人が、民間 企業と比べ大幅に安い金額で監査契約を結んでいることが二十七日、本紙の調 べで分かった。本年度の最低額は高岡短期大学(富山県)の百三十一万円(半 年間)、最高額は大阪大学の二千二十万円。いずれも採算割れとの指摘もある。 安値契約は監査の質の低下につながり、監査の信頼性を揺るがしかねない。 契約額の安い大学は、高岡短大に次いで、政策研究大学院大(東京都)の二 百十万円、富山大二百十万円、富山医科薬科大二百八十八万円−と続く。いず れもあずさ監査法人が担当。富山県の三大学は十月一日に統合するため九月末 までの半年間の契約になっている。 逆に契約額の高い大学は阪大に次ぎ、東大、京大でともに千九百万円台。新 日本監査法人が担当している。 監査料は、企業の場合、売上高や監査に携わる公認会計士の数や要する日数 などで決まる。最高レベルのトヨタ自動車は昨年度、三億四千六百万円。 日本公認会計士協会によると、二〇〇四年三月期までに個別財務諸表を提出 した千八十一社のうち、製造業の平均は一千百二十一万円だった。 国立大学の監査料も企業と同じ算出方法をとる。東大、京大などは一流企業 並みの資産価値があり「監査に要した時間などを考えると数千万円に上る」と の指摘もあるが、製造業の平均に近い水準になっている。 顧客企業からの収入が伸び悩む中、監査法人にとって国立大学の監査は新た なビジネスチャンス。大学関係者によると、独立行政法人化の際に実績のあっ た新日本が多数を獲得したため、他の監査法人が安値で対抗、全体的に価格競 争に陥ってしまったという。 文部科学省は「安価かもしれないが、企業に比べて訴追されるリスクが少な いので合理的な価格だ」と話す。あずさは「質を確保した上で合理化を進めて おり、安値受注ではない」としている。 ◇メモ <国立大学の会計監査> 企業の会計監査が株主や投資家のために行われているように、全国89の国 立大学も財源の5割超が税金であることから、国民に対して説明責任を果たす 必要がある。このため、独立行政法人となった2004年度から会計監査が義 務付けられた。監査人の選定は、各大学が契約価格や法人としての実績などを 基準に原則、一般競争入札を実施して文科相に推薦、確定する。実際の監査は 4大監査法人(新日本、中央青山、あずさ、トーマツ)が独占している。 |