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『北日本新聞』コラム「天地人」
2005年8月25日付 ヨーロッパ最古の大学であるイタリアのボローニャ大学は、学生の自治組織 として誕生した。日本では総合大学と訳す「ユニバーシティー」は、この学生 組織に由来する。語源的には組合という意味だ。 学長は学生の組合長だ。学生の生活のために、大学は市や大家と下宿代など の交渉を行い、教師とは俸給交渉をした。これに対抗し教師の組合として発足 したのが「カレッジ」である。 日本の国立大学は、国家に役立つ人材を養成するためにつくられた。国が運 営したから、金の心配をあまりしたことがない。法人化されて大学の教師たち は、経営的な決断と地域社会や企業と積極的な交流を迫られた。 初めての決算では、上位に研究委託などで外部資金が得やすい旧帝大が並ん でいる。国立大は人件費比率が高い。定員削減を図っているが、教職員の高齢 化が進む。助教授や講師に比べ教授が多い、逆ピラミッド構造も難点だ。地の 利の悪い、富山のような地方には二重のハンディとなる。 大学は教育と研究の場であり、真理の探究を目的としていることを見失いた くない。本来、大学では学生も教師も金で鍛えられてきた。欧州の大学は、学 問の自由を勝ち取るために教会などの権力と戦い、経済的自立を図った。経営 に力をいれたのもそのためである。 |