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新首都圏ネットワーク

『琉球新報』2005年8月26日付

新産業創出へ産学官連携 県が科学技術振興指針発表


 県は25日、2011年度を目標年次とする「沖縄県科学技術振興指針」を
発表した。沖縄科学技術大学大学院構想の進展や産学官共同研究事業の創設な
ど新たな動向を踏まえ、2000年度に策定した県科学技術振興大綱を抜本的
に見直し、沖縄振興計画の下での基本的な考え方と戦略を定めた。大学院大学
が研究領域の中心に位置付ける生命科学のほか、環境、情報通信、フロンティ
ア(海洋開発など)の4つを重点的研究分野とし、新産業の創出や地域活性化
につながる科学技術の振興策を推進する。

 推進体制では、中核機関として当初構想していた「県科学技術振興財団」の
設立について、行政改革を進めている中で新たな財団設立に理解が得られない
として指針に盛り込まなかった。中核機関の充実、強化が今後、重要な課題と
なりそうだ。

 総合的な推進体制として、県庁内に関係部長や有識者から成る県科学技術会
議を設置。財団に代わる中核機関の在り方は検討を重ね、産学官連携の調整機
能や人材バンク的機能を持たせる考え。県民への広報や指針のフォローアップ
のため科学技術白書も発行する。

 指針では国が進める大学院大学設置を特定課題として設け、大学院大学を核
に他大学や公的研究機関、民間企業が集積する地域クラスターの形成を通じ新
産業の創出を図ることを強調している。

 重点的研究分野のうち生命科学では、沖縄の多種多様な生物資源の機能性、
メカニズムを遺伝子レベルで解明。県内からはまだ出ていない特定保健用食品
や、医薬品の研究開発などに取り組む。

 環境分野では地球温暖化対策技術や新エネルギー開発、フロンティア分野で
は海洋生物資源や鉱物資源などの利活用研究を進める。

 施策方向として(1)研究開発・交流の基盤づくり(2)研究・開発成果を
生かす仕組みづくり(3)科学技術を担う人づくり―を設定。この中では生物
資源・海洋資源に関する研究機関の設置、TLO(技術移転機関)の設置、産
学官連携コーディネーターの育成などを掲げている。