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『読売新聞』2005年8月24日付 国立大など93法人、経営努力による黒字総額53億円 文部科学省は24日、昨年4月に法人化した国立大の2004年度決算を公 表し、国立大89校と大学共同利用機関4法人の計93法人の実質的な黒字総 額は約53億円だったことを明らかにした。 文科省は「各大学の財務内容は決して余裕のある状況ではない」と分析。そ れを裏付けるように、各大学では、教育研究用につくった米を売ったり、公用 車を軽自動車に切り替えたり――と、収入獲得や経費節減に四苦八苦している。 文科省のまとめによると、93法人の当期総利益は約1100億円。この大 半は法人化前の国立大から引き継いだ授業料の未収分や付属病院の医薬品など を会計処理上、収益として計上したもので、経営努力に伴う実質的な黒字額は 約53億円にとどまった。 こうした中で、山形大は法人化後、自らの手で収入を得ようと、農学部で教 育研究用につくった米を卒業生に販売する作戦をスタート。同学部は近くの付 属農場で「はえぬき」や「コシヒカリ」を年間約40トン収穫しており、卒業 生にダイレクトメールを送って注文を募った結果、これまで814人に対して 計約700万円分を売り上げた。 キャンパスを映画やテレビドラマの撮影用に貸し出し、使用料を稼いでいる のは東京工業大で、すでに2回のドラマ撮影が行われた。使用料は1時間1万 円程度だが、同大は「大学のPRにもつながる」と期待している。 業務の見直しなどで経費節減に取り組む大学も多い。コピー用紙の裏面使用 や退勤時のパソコン電源オフの徹底、電話回線や携帯電話契約の見直しなどは、 「どの大学でも行っている」と文科省幹部。琉球大は公用車の一部を軽自動車 に切り替え、東京学芸大では学外に搬出するゴミの処理方法を見直して、可燃 ゴミを32%、不燃ゴミを15%減量することに成功、経費カットにつなげた。 このほか「遠隔地キャンパスを含めた会議を原則テレビ会議化」(北海道教 育大)、「2大学でガソリンや軽油、コピー用紙などを共同調達」(東北大と 宮城教育大)、「病院の窓口業務などをアウトソーシング」(北海道大)など、 あの手この手で経費を切りつめている。 |