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新首都圏ネットワーク

『河北新報』2005年8月20日付

移転費用は自己資金 東北大、予算要求見送り


 青葉山(仙台市青葉区)の宮城県有地(82ヘクタール)へのキャンパス移
転計画を進める東北大は19日までに、県有地取得費などのキャンパス整備費
について、基本的に自己資金で賄う方針を固めた。雨宮キャンパス(青葉区、
9ヘクタール)とともに、青葉山に半分以上を移す計画だった片平キャンパス
(同、24ヘクタール)については売却予定の南側エリア(5.5ヘクタール)
の施設だけを移転する方向で検討している。

 東北大は2005年度政府予算の概算要求で青葉山の用地取得費を要望した
が、文部科学省が県有地全体の購入などに難色を示し、予算化されなかった。
06年度は予算要求を見送り、今月1日に自己資金で移転を進める計画書を文
科省に提出した。

 関係者によると、移転の総事業費は数百億円規模と見込まれる。資金は大学
の保有財産や民間金融機関からの借入金で調達、用地の取得や造成、施設整備
などに充てる。早ければ本年度中に用地を購入するとみられる。

 老朽化が著しい雨宮キャンパスの農学部と、片平キャンパス南側エリアの電
気通信研究所の移転を優先し、10年度までに完了させる見通し。移転後、隣
接する学校法人東北学院が取得の方針を固めている電気通信研究所エリアと、
雨宮キャンパスなどの保有地を売却し、借入金を返済する。

 東北大が自己資金での整備に方針転換した背景の一つには、国立大が04年
4月に独立行政法人化したことが挙げられる。従来、国費で実施されていた移
転事業は法人化後、国が原則として予算を認めず、国立大には自立した運営が
求められるようになった。

 東北大は開学100周年の07年度の造成工事着手を目指しており、2年連
続で予算要望が認められない場合、移転計画全体が遅れる可能性があることも、
自己資金での整備に傾く判断材料になったとみられる。

[青葉山キャンパス移転計画]東北大は1995年、片平、雨宮両キャンパス
の青葉山県有地への全面移転を打ち出した。が、県有地を借りていたゴルフ場
と宮城県の交渉が難航。両者が和解し、ゴルフ場が今年1月に土地を明け渡す
間に、移転費用の原資となる両キャンパスの地価が下落。大学側は2002年、
雨宮は全面移転するものの、片平は北側の金属材料研究所など約3分の1を残
すと計画を縮小した。