トップへ戻る  以前の記事は、こちらの更新記事履歴
新首都圏ネットワーク

『琉球新報』2005年8月19日付

外国債運用益を奨学金に 琉大後援財団が来春から実施


 琉球大学(森田孟進学長)の学生を支援している琉球大学後援財団(理事長・
松本行雄琉銀相談役)が来春から、米国国債とオーストラリア国債の運用益に
よる「名城嗣明奨学金」をスタートさせる。原資となる寄付金10万米ドル
(1119万5333円)を寄付した名城文夫さんに18日、感謝状が贈られ
た。

 同財団ではこれまで、銀行などに原資を預け入れた際に付く利子分を、奨学
金に組み込んだことはあったが、国債を購入して運用益を挙げ、奨学金とする
のは初めて。

 奨学生の受け皿となっている日本学生支援機構の広報課によると、同機構で
は国債の運用益による奨学金の資金創出は行っておらず、文部科学省でも「そ
のような例は把握していない」と話しており、珍しい取り組みと言えそうだ。

 外国債の購入は、琉大名誉教授を務めた故名城嗣明氏の遺志を継ぎ、寄付を
申し出た息子の文夫さんが提案したもの。

 文夫さんは、証券業界に勤めていることから「元本を食いつぶしていくより
もいいのでは」と、少ないリスクで運用益を挙げることのできる外国債を推薦。

 同財団は地元の証券会社とも相談しながら購入に踏み切った。

 年間40万円程度の運用益が見込まれており、為替リスクを差し引いても2
0万円を奨学金として確保できる計算。

 同財団の金城幸秀常務理事は「こういう運用の仕方は、これからの奨学制度
を考えていく上で、いいこと。ユニークなのではないか」と話している。