トップへ戻る  以前の記事は、こちらの更新記事履歴
新首都圏ネットワーク

『沖縄タイムス』2005年8月17日付

沖縄TLO年内に創設


 県産業振興公社などの新事業創出・研究開発事業の各種助成金を受けた20
05年度の研究開発の成果発表会が16日、那覇市の沖縄産業支援センターで
開かれた。琉球大学地域共同研究センターの照屋輝一教授は、研究機関から産
業界へ技術を移転するTLO(技術移転機関)について、同大を含む県内すべ
ての研究機関による沖縄TLO(仮称)を年内に創設する方針を明らかにした。
研究発表では発酵ニガナやシークヮーサー、モズクなど県内の特産素材を活用
した健康食品・バイオ関連分野の発表が相次いだ。中には臨床試験で加工食品
の効能を確かめ、特定保健用食品化を目指す高度な取り組みも報告された。

 照屋教授によると、沖縄TLO設立に向けて8月に設立準備委員会を設置。
全国では大学ごとにTLOが設立されるケースが多い中で、「琉大以外の大学
や研究機関の技術移転を含めたオール沖縄型」として他大学へ参加を呼び掛け
るなど準備を進めている。

 県や沖縄総合事務局、産業団体などと幅広く連携体制を組む考え。

 設立形態は、株式会社として資本金1500万円を予定。教員や卒業生らに
よる琉大持ち株会のほか産業団体、企業などが出資することを想定している。

 TLOの事業では「県内の産業振興の中で企業への技術提供が柱」などと述
べ、産業界への技術移転機能を中核に位置付け、新産業創出を図る考えを強調。
「技術移転だけではなく、コンサルティング、交流促進など多様な機能を持つ
TLOにしたい」などと説明。

 事業収入では「特許を取得するだけが、TLOの活動、収入になるとの誤解
がある」と指摘した上で、「収入の7割はコンサルティング事業になる見通し
だ」とも明らかにした。

 一方、宮古で自生するタチアワユキセンダングサ(ビデンス・ピローサ)を
原料にした加工食品(宮古Bp)の研究開発では、プロジェクトリーダーの安
仁屋洋子琉大教授が、花粉症対策として効果が期待される抗アレルギー作用に
ついて臨床試験の結果を発表。

 スギ花粉症患者44人のうち、同食品を服用した人の7割近くが症状が改善
したと答え、医師が診断しても約6割の患者が良くなったとの結果を得たとい
う。

 こうした試験を重ねて予防効果が表示できる特定保健用食品の開発を目指す
ほか、アトピー性皮膚炎などに効果のある抗炎症作用を生かした化粧品開発な
ども手掛けている。