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新首都圏ネットワーク

『朝日新聞』2005年8月15日付

国家公務員給与引き下げ勧告 年収で0.1%減 人事院


 人事院は15日、05年度の国家公務員給与を行政職の平均で年間0.1%、
4千円引き下げるよう求める勧告を国会と内閣に提出した。昨年は据え置きを
勧告しており、引き下げは2年ぶり。勧告通り実施されれば、月給は平均で3
8万703円(平均年齢40.3歳)となる。また、給与改定とは別に、基本
給の水準を引き下げ、民間の給与が高い都市部で手当を上乗せする抜本的な給
与改革案も提出した。

 給与の引き下げは、人事院が今春実施した官民比較調査で、公務員の給与が
民間より0.36%、1389円高かったとの結果に基づく。今年4月にさか
のぼって、基本給を0.3%、1057円引き下げる。配偶者の扶養手当も5
00円引き下げて月額1万3千円とする。一方、ボーナス(期末・勤勉手当)
は民間の方が多かったため、0.05カ月分増やし、年間で4.45カ月分と
する。

 給与改革案は「地方で勤務する公務員の給与は、その地域の民間企業より高
い」との批判に応えるもの。人事院の調査では、04年は全国7地域のうち、
東京と関東甲信越以外の5地域で国家公務員の給与が民間より高く、最も格差
の大きい北海道・東北では、公務員が約4.8%上回った。

 このため改革案は、公務員の基本給を、北海道・東北の民間に合わせて平均
4.8%引き下げる。ただ、このままでは東京などでは公務員の方が民間より
低くなるため、現在の「調整手当」(最大12%)よりも上乗せ幅が大きい
「地域手当」(最大18%)を支給することでバランスを取る。

 また、基本給の引き下げでは、中高齢層の引き下げ幅を大きくする一方、採
用間もない若年層は引き下げを行わないことで、給与カーブのフラット化を目
指す。昇給についても、「同じ職務の級」の中で昇給額を細分化し、実績を反
映しやすくする制度を導入することで、年功から実績に応じた昇給制度への転
換を図るとしている。

 改革案は秋に予定される臨時国会で提案される見込み。人事院は、成立すれ
ば、来年4月から5年間かけて実施したいとしている。