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新首都圏ネットワーク

『朝日新聞』2005年7月29日付

大阪市が職員6千人削減案 人件費522億円減る試算


 大阪市の職員厚遇問題に端を発してできた同市政改革本部(本部長=関淳一
市長)は29日、約4万7000人いる市職員を今後5年間で最大6000人
削減する案を検討していることを明らかにした。09年度末までの退職者数に
相当し、新規採用を原則凍結することで実現できるとしている。職員数が現在
約2万9000人の横浜市など、他の政令指定市に比べて肥大化した大阪市の
組織をスリム化するのが狙い。総務省は「実現すれば、かなり思い切った職員
削減策になる」としている。

 市が設けた「有識者会議」がこの日開かれ、その席で同会議委員の津村準二・
関西経済連合会副会長らに、改革本部が示した。

 改革本部の試案では、今後5年間、新規採用を原則凍結する。さらに事業の
見直しで1000人を減らす。ただ特定の職種で1000人程度の新規採用が
必要なため、差し引きで総数は約4万1000人になる。現在より職員数で1
2.8%も減り、人件費は約522億円分の削減になる。人手が足りなくなっ
た場合は民間企業への外注や期限付き職員の採用で補う、としている。

 職員削減の理由として、大阪市は人口1万人当たりの職員数が185人で、
名古屋市140人、横浜市95人、福岡市80人(いずれも職員数は04年4
月、人口は00年度国勢調査)などと比べて圧倒的に多いことも挙げた。

 また改革本部は同日、大阪市が都市再開発事業などの特別会計で3400億
円の含み損を抱えている▽外郭団体や土地信託事業の失敗で今後、市が100
0億円を超える負担を求められる可能性がある――などの将来的なリスクを紹
介。職員の人件費や借金返済に充てる公債費などの経常支出(義務的経費)だ
けでも、他の政令指定市並みに絞ると年間2700億円(現行比約20%)の
削減が必要だと説明した。

 9月末までに成案をまとめ、市政改革の中身や実施時期を盛り込んだ「改革
マニフェスト」として最終公表する。

 総務省給与能率推進室によると99年から5年間の全自治体の職員削減率は、
平均で4.6%。政令指定市では横浜市が今年、市立大学の独立行政法人化や
市立病院の民間委託などで職員を3606人減らした例があるが、新規採用の
凍結を中心に10%を超す規模の削減は異例といえる。

 改革が実行に移された場合の市民生活への影響や、若者の雇用への影響など
で、今後、議論が起こる可能性もある。