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新首都圏ネットワーク

『山陰中央新報』2005年7月15日付

鳥大教授がベンチャー企業設立


 遺伝子や染色体を利用した機能再生医療の研究実績を社会に生かそうと、鳥
取大学大学院医学系研究科(米子市西町)の押村光雄教授(56)らが、ベン
チャー企業を設立した。一年後には株式会社化を目指し、企業などへの技術指
導や研究開発サポートなどを行いたい考え。

 有限会社「クロモセンター」(米子市米原八丁目)で、資本金は三百五十万
円。押村教授は取締役を務め、社長は米子市のビジネス工房サムズの松岡隆之
社長が就任した。

 株式会社化後は大学や企業などに対する▽染色体工学技術を利用した研究開
発サポート▽医薬品や健康補助食品などの薬物効果と副作用調査▽染色体解析
−などを実施する。大学側は会社とともに共同開発研究をすることで、特許料
などの収入を得ることができる。

 今後、押村教授は病気治療に役立つ遺伝子を細胞内に安全に運ぶ「ヒト人工
染色ベクター」の実用化などの研究を、これまで同様に大学で進めるとともに、
クロモセンターは株式会社化に向け、企業などに出資を募る。

 押村教授は機能再生医科学専攻で、がんや老化のメカニズムの解明、遺伝病
の原因遺伝子の解析など、世界に先駆けたバイオテクノロジー技術開発の実績
がある。

 十四日に鳥取県庁で記者会見した押村教授は「新産業創出など社会貢献を果
たすためにもぜひ成功させたい」と話し、中村宗和副学長も「成功すれば大学
外の資金獲得や卒業生の就職、地域活性化につながる」と期待している。

 同大によると、バイオテクノロジー関係で大学発のベンチャー企業設立は山
陰初という。