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新首都圏ネットワーク

共同通信配信記事  2005年7月9日付

国公立大 10大学が学長報酬引き下げ
最大月額12万円 法人化 意識改革狙う


 昨年春に法人化された国立大学のうち、北見工業大や愛媛大、長崎大など1
0大学が学長報酬を引き下げたことが9日、分かった。これまで“親方日の丸”
で、コスト意識が低いともいわれた国立大。引き下げ額は、最大で月額約12
万円に上る。経営環境が厳しくなる中、学長自らが「範」を示すことで、教職
員の意識改革につなげたいとの狙いが見える。

 「法人化で長崎大も企業的考えを持つようになった。国家公務員時代には削
れなかったものを削った」。学長の報酬を月額122万7000円から114
万6000円へ8万1000円引き下げた長崎大の関係者はこう話した。

 法人化後の主な収入は授業料や国からの運営費交付金、「21世紀COEプ
ログラム」など私立も含め”獲得競争”する補助金。交付金は収入の半分を占
めるが、経営効率化を促すとして、本年度から年1%の引き下げが始まった。

 長崎大の場合は約一奥二千六百万円の減額。同大は「1%ずつ削られること
を考えれば、将来、報酬を抑制しておいて良かったということになるかもしれ
ない」。

 しかし、学長報酬引き下げで浮く資金はそれほど多くない。北見工大の場合、
期末手当を含め年間百数十万円。同大は「額は少ないが教職員の意識改革を促
すことが目的。教職員にも経費削減を意識してもらいたい」と話した。

 愛媛大は学長報酬引き下げのほか、非常勤講師の雇用抑制や、教員の定年退
職後一年間は欠員補充しないなどの人件費抑制策を実施。同大は「授業料は上
げられないし、交付金は減る仕組みだし…」と苦しい台所事情を打ち明けた。

 一方、経費削減努力が、国立大の経営を見る評価委員会から評価され、将来
の交付金増額につながれば、という思惑も垣間見える。

 各大学で始まった経営努力。文部科学省は「浮いた資金を別のところに使え
る法人化ならではの仕組みを生かしてほしい」と話すが、極端な経費削減は研
究・教育活動に影響を与えかねない。

 報酬を引き下げたある大学の学長は「教育研究費まで削減することは人材を
養成する大学として本末転倒で、あってはならない。費用対効果をあまり追求
してはいけない」と話している。

学長報酬を引き下げた大学

法人化前(月額) 法人化後(月額)
新潟大 122万7000円 122万0000円
長崎大 122万7000円 114万6000円
愛媛大 114万6000円 106万9000円
静岡大 106万9000円 106万0000円
お茶の水女子大 106万9000円 101万5000円
北見工業大 106万9000円 99万1000円
電通大 106万9000円 99万1000円
九州工業大 106万9000円 99万1000円
岐阜大 121万円(月額)の10%カット
和歌山大 ボーナス(6月、12月の減額