トップへ戻る  以前の記事は、こちらの更新記事履歴
新首都圏ネットワーク

『京都新聞』2005年7月6日付

京都工繊大、工芸科学部に統合へ
大学院に重点「繊維」を改廃


 京都工芸繊維大(京都市左京区)は5日までに、大学院重点化や学部再編な
ど開学以来の組織再編計画を評議会で決定、文部科学省に申請した。来年4月
実施の予定で、現在の2学部(工芸・繊維)を工芸科学部に統合する。前身校
を含め100年を超える伝統の繊維学部が消えるが、組織刷新によって教育研
究の先進性をアピールする。

 「高度専門技術者の養成」という大学理念の実現が目的。教員の所属は大学
院に一元化し、入学定員を3割増するなど修士課程を拡充。生体分子工学、情
報工学などの専攻を新設し、先端領域重視を明確にする。

 学部は、2学部7学科を1学部10課程に再編。生体分子工学や高分子機能
工学など新しい枠で学生を迎え入れる。夜間主コースは学科別を廃止し規模を
縮小、総合的カリキュラムの先端科学技術課程に一本化する。

 学部名から繊維が消えるが、「繊維は大学のルーツであり、新たな研究展開
がある重要分野」(古山正雄副学長)とし、年度内に全学組織の「繊維科学セ
ンター」を設立し、研究の核とする。大学名の変更も検討されたが、歴史を示
す名称であり、改定手続きの困難さもあり、現行のままとした。

 工繊大は京都蚕業講習所(1899年)と京都高等工芸学校(1902年)
が前身校で、1949年に設立された。半世紀にわたり2学部制が続いたが、
意思統一や研究交流などで「学部間の壁」も指摘されていた。今回の体制一新
で、大学一丸となった教育改革と研究推進を図る。

 今回の組織再編が実施されれば、繊維学部は全国で信州大だけになる。