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新首都圏ネットワーク

『毎日新聞』2005年6月10日付夕刊

科学技術白書:資金獲得へ競争激化 研究者の意識に変化−−04年度


 政府は10日の閣議で、04年度の科学技術白書を了承した。この中では国
立大学と公的研究機関の法人化が、研究環境にどのような変化を与えたか、研
究者へ実施した初めての調査結果を掲載。資金獲得のため「競争」がより求め
られ、産業界のニーズや生命科学などの分野に目が向くなど、研究者の意識が
変化している一方、研究に専念できる時間は増えていない実態も明らかになっ
た。

 調査は今年1〜3月、全国の国立大学法人や、独立行政法人化した公的研究
機関に所属する研究者2000人を対象に実施。1172人から回答があった。
国立大学は04年度に法人化、公的研究機関は01年度以降、独法化が進んで
いる。

 まず、応募や申請によって得られる「競争的資金」については「獲得をより
求められるようになった」と答えた研究者が55%に上った。競争の拡大で、
研究時間が短縮されることも期待されているが、「短時間で研究成果が出るよ
うになった」は6%にとどまっている。

 一方、「研究に専念できる時間が増えた」はわずか1%で、研究以外の仕事
が増えている様子もうかがえた。また「組織内の責任の所在が明確になり、外
部との対応が容易になった」は9%で、研究基盤や施設の改善が進んでいない、
との回答も多かった。【永山悦子】