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新首都圏ネットワーク

『岩手日報』2005年6月5日付

法人2年目改革へ 岩手大あす新体制


 岩手大(平山健一学長)の法人化2年目の新体制は6日、スタートする。役
員5人の平均年齢は56歳。法人化初年度の62歳から大幅に若返った。役員
には同大教職員組合委員長の玉真之介氏を理事に起用。古い枠にとらわれない
人材登用で、法人化2年目を迎えた大学改革に拍車をかける。

 同大は、新理事に学務担当の玉氏と地域連携担当の大野眞男(まきお)氏の
いずれも51歳の若手を起用した。改善が迫られる課題として「文系の地域貢
献」「大学の共通教育の整備」を掲げる。

 理系分野では地元産業・農業と連携した活動が活発。一方で教育学部や人文
社会科学部などが培ってきた知的財産を生かし、教育現場や地域の課題解決な
ど一層の地域貢献が望まれている。入試から就職までの一貫した教育体制の確
立を目指す中で「共通教育」はさらに充実を図る。学生が意欲的に学べるよう
な科目構成や全学的な視野で教員を適正に配置する。

 課題解決には全学部の協力体制が必要で、教職員の意識改革が求められてい
る。しかし、年功序列で学部が運営されるなどの弊害を指摘する声もある。

 こうした中で農学部では51歳の若手新学部長が誕生するなど、既成概念を
破る動きもあり、今回の役員人事にも反映されたようだ。

 同大の教職員組合は法人化による労働条件の変更なども受け入れる一方、大
学の問題点も指摘してきた。委員長の理事起用について、次期委員長候補の西
崎滋人文社会科学部教授は「委員長としての実績が評価されたと考える。教職
員の意見がより反映されやすくなるのではないか」と期待する。

 同大の2005年度入試の二次試験倍率は全国最下位の3・2倍。地方大学
の生き残りには、志願者も含めて存在をアピールする必要がある。

 平山学長の任期は3年間。法人化後の6年間の教育・研究と運営の指針であ
る中期計画は09年度に終了。前半の区切りとなる今後2年間が大学にとって
正念場だ。

 法人化準備の運営諮問委員会の委員だった福島県・会津大の池上徹彦学長は
「思い切った人事だが、学内の意識改革には必要。教育に力を入れ、岩手の良
さを生かす大学運営に期待したい」とみる。

 【岩手大役員】

▽学長 平山健一(63)
▽理事・副学長 斎藤徳美(60)=工学部教授
▽同 玉真之介(51)=岩手大教職員組合委員長、大学院連合農学研究科教授
▽同 大野眞男(51)=教育学部教授
▽理事兼事務局長 菊地俊彦(57)