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2005年5月30日付 大学の共同研究件数、平成16年度は高水準20%の伸びの見通しに 文部科学省は、平成15年度(2003年度)から始めた「大学における知的財産 本部整備事業」の中間評価作業を進めている途中過程で、平成16年度(2004年 度)の大学の共同研究件数・金額が当初の予想を覆して約20%と高水準で伸び つつあるとの見通しが得られつつあることを明らかにした。 大学の共同研究件数・金額の伸び約20%の見通しは、産学連携を積極的に推 進している代表格の東京大学や東京工業大学、九州大学でも同様の見通しが得 られつつある。平成16年度は国立大学が独立行政法人(国立大学法人)化し、 大部分の国立大学法人が特許などの知的財産を従来の個人帰属から大学所有の 機関帰属に切り替えた。この結果、共同研究契約の際に大学と企業の知的財産 の持ち分を事前に決める作業が必要となる影響などによって、共同研究件数は 増えないだろうと予想されていた。 大学と企業の産学連携を促進するために、文科省は平成15年度に知的財産本 部整備事業の対象機関として、産学連携能力が高い大学グループ34件に選び、 準対象機関の9件を併せて43件に整備支援資金を原則5年間助成している。大学 の研究成果から産まれた技術シーズを、企業が事業化できるレベルまで共同研 究などによって拡充する産学連携態勢を大学が築くには、特許などの知的財産 の管理・運用する体制の構築が必要になるためである。 同整備事業の対象大学である東大も平成16年度の共同研究の件数742件・金額 33.9億円と20%を超す見通し。教員などからの発明届けで件数や特許出願件数 も大幅に伸びるなど、「知的財産の機関帰属は東大では定着した」(石川正俊 副学長・産学連携本部長)という。共同研究契約の締結時の決済過程などを迅 速化した成果という。 東工大も平成16年度の共同研究件数は約320件と20%を超す伸びとなる見通し。 九大も平成16年度の共同研究件数約350件・金額10.6億円で、20%を超す伸びと なる見通し。委託研究も約420件の見通し。東工大も九大も、大学と企業が組織 対応する大型の共同研究を積極的に増やすなどの工夫を凝らしていることなど が共同研究が増えた原因である。 大学の共同研究件数が伸びている背景には、国際市場での競合に面している 大手企業が研究開発や事業化を迅速化する必要性が高まり、有力な研究大学と 共同研究する研究開発のアウトソーシングを増やしているためと推測されてい る。 今回の大学と企業の共同研究の平成16年度の見通しは、2005年5月28日に東京 都新宿区の東京理科大学で開催された日本知財学会第三回日本知財学会学術研 究発表会で開催された、産学連携・ベンチャー分科会セッション「産学官連携 の現状と課題」のパネルディスカッションの中で明らかになったもの。(丸山 正明=産学連携事務局編集委員) |