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『朝日新聞』北海道版 2005年5月27日付 北大教職員組合が救済申し立て 「寒冷地手当減は不当」 北海道大学(中村睦男学長)が、04年4月の国立大学法人化に伴って定め た就業規則を一方的に改定し、寒冷地手当を減額したのは不当労働行為にあた るとして、北大教職員組合(伊藤雄三委員長、400人)が26日、北海道地 方労働委員会に救済申し立てをした。「団体交渉で記録をとることを禁止しな い」など労働組合法に則した労使交渉の実施や、「反省文」掲示を求めている。 国立大学の法人化で、教職員は公務員ではなくなり、人事院規則などで定め られていた労働条件は一般企業と同じ労基法が適用される。また、職員組合は 労働組合法が定める「労働組合」になった。北大教職組によると、法人化に伴っ て施行された就業規則の職員給与規定には寒冷地手当について具体的金額が定 められ、04年度分は予算措置されていた。ところが、大学側は昨年8月の人 事院勧告に準じて規則を改定し、寒冷地手当の支給額を前年より総額で1億2 千万円減額し、分割支給した。改定について組合に対する事前の協議申し入れ はなく、団体交渉の前に役員会で決定してしまうなど、一方的だったという。 伊藤委員長は「労務担当理事が『就業規則の不利益変更であることは承知し ているが、支払わない』と言うなど、公務員時代の労使関係をひきずり、合意 を得る努力をしていない。今後、きちっとした労使関係を結ぶためにも、実効 性のある救済命令を出してほしい」と話す。 申し立て代理人の弁護士は「大学側がメモを禁止したために団体交渉の議事 録がないなど、労使関係の基本が分かっていない」と、あきれている。 北大は「労働組合との交渉には誠実に応じていることから、不当労働行為と は考えていない」とコメントしている。 |