トップへ戻る  以前の記事は、こちらの更新記事履歴
新首都圏ネットワーク

『朝日新聞』和歌山版 2005年5月27日付


理事長と学長兼務へ/県立医大法人化


 県は26日、来年4月に予定されている県立医大の独立行政法人化に伴って
新設される理事長職について、学長と兼務とする方針を固めた。県は経営の透
明化などを理由に、両者の分離を求めていたが、兼務を求める大学側の意向を
尊重した。ただ、副理事長については、経営の専門知識を持った大学外の人を
登用し、経営の効率化を求めるという。

 県医大には約42億円(05年度当初)の県費が支出されている。有識者ら
でつくる「県立医科大学のあり方懇談会」は03年12月、大学の現状につい
て「行政機関のひとつであるため、大学の自由度が制限され、活性化に結びつ
きにくくなっている」と指摘した。

 これを受け、県は昨年5月、法人化を決定。大学の自由度を高めることで、
経営を効率化したり、他大学との競争力を高めたりする狙いがある。経営は、
理事会が担い、そのトップの理事長は、知事が任命する。

 昨夏に発足した県や医大幹部らでつくる「医大法人化・改革推進会議」(1
1人)は、6回の会合を重ね、運営方法や定款などについて検討してきた。

 この中で、県側は、理事長を学長とは別人にする「分離型」を提案した。経
営と教育研究分野の責任の明確化や、より多くの目で大学をチェックする方が
良いと考えたためという。

 これに対し、大学側は、教育研究分野の長である学長が理事長を務める方が
より効率化につながるとして「兼務型」を主張していた。

 今回の方針決定については、法人の定款に盛り込まれる見通しで、6月議会
で可決されれば、文部科学省などに提出される。

 県医科大学改革室によると、全国の公立大学約80校の中で、すでに法人化
した大学は全国7校ある。このうち学長が理事長を兼務しているのは2校とい
う。