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新首都圏ネットワーク

『科学新聞』2005年5月13日付

経産省 大学発ベンチャー1000社計画達成
バイオ、IT企業が人気


 経済産業省は、平成13年5月から施策を講じてきた「大学発ベンチャー10
00社」計画において、16年度末時点で大学発のベンチャー企業千社という目
標を上回り、1,099社に上ったことを発表した。このうち、新規株式公開(IP
O)を果たした会社は12社で、新たに10社が17年度中に公開を予定していると
いう。これは同省が行った大学へのアンケート調査により明らかになったもの。
これによると、1,099社の経済効果は、直接効果で雇用者数が約 1.1万人、売上
高が約1,600億円と試算している。

 1,099社の大学発ベンチャーを分類すると、大学で生まれた研究成果を基に起
業したベンチャーが645社と全体の6割を占め、残りの約4割(454 社)は大学
と関連の深いベンチャーであるという。その中には、設立5年以内に大学との
共同研究などを行ったもの(114社)、大学と深い関連のある学生ベンチャー
(98社)、設立五年以内に大学から技術移転などを受けたもの(56社)などが
含まれている。

 事業分野を見ると、バイオが38.1 %、IT(ソフトウェア)30%、IT(ハー
ドウェア)、機械・装置15.7%、素材・材料11.3%、環境8.9%、エネルギー
3.4%、教育 3.2%、その他18.9%となっている。なお、これには一企業で複数
分野にわたる場合も含まれている。

 4年間の累積で最もベンチャー企業を輩出した大学は、1位が東京大学で、
2位早稲田大学、3位大阪大学の順となっている。しかし近年(16年度)では、
筑波大学(1位;8社)、九州大学(2位;6社)、広島大学(3位;5社)
と地方圏の大学が台頭してきている。

 IPOを果たした12社のうち、8社がバイオ系。また公開予定54社(17年度
公開予定の10社を含む)と公開希望131社の業種区分を見るとバイオ系が96社、
IT系が48社、とバイオ系企業が多い。

 各社の現在のステージを見ると、有効回答315社のうち、研究開発段階にある
ものが163社、事業段階に入っているものが152社とほぼ拮抗する形となった。

 またアンケートで、現在直面している課題について、1位から3位の優先順
位をつけてもらったところ、最も多かったのが、「人材の確保・育成」で、次
いで「販路の開拓・確保」、「資金調達」となっている。また必要としている
人材は、研究開発人材が最も多く、次いで営業販売人材、財務人材、経営者の
順となった。

順位 大学 企業数 昨年度順位
1位 東京大学 64 2位
2位 早稲田大学 60 1位
3位 大阪大学 54 3位
4位 京都大学 51 4位
5位 東北大学 39 5位
6位 筑波大学 37 13位
7位 九州工業大学 34 8位
8位 慶應義塾大学 33 6位
9位 九州大学 32 9位
10位 北海道大学 31 7位