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新首都圏ネットワーク

『大分合同新聞』2005年5月20日付

激化する大学間競争背景 企業や自治体 知識、技術に期待


 大分大学が地域との連携を積極的に進めている。受け身の姿勢から転じ、相
次いで県内の自治体、企業と協力協定を締結。少子化で激化する大学間競争に
生き残るため、「地域に頼られる大学」に脱皮しようと躍起だ。

 昨年四月の国立大学法人化で、社会貢献は従来の教育、研究と並ぶ大学の大
きな使命に位置付けられた。大分大も社会貢献活動はしてきたが、企業と共同
研究したり、行政の審議会委員を引き受けたり、個人レベルの活動が中心。受
け身の域を出ていなかった。

 国は各大学の活動実績(六年間)を基に、予算を配分する評価制度をスター
ト。大分大は「これからの地方大学は地域発展のために何ができるかが問われ
る」と、地域と同じ目線に立った取り組みを模索している。

 その柱となるのが、自治体や企業との包括的な協力協定。これまでに三市・
三企業と締結。相手側のニーズに合わせて、専門的な知識を持つ各学部の教員
がチームをつくり、一緒に課題を解決していく。

 豊後高田市は過疎・高齢化対策で、大分大とITを活用したまちづくりに取
り組む。合併で面積が広がった市内全域に、福祉・医療情報をくまなく提供で
きるサービスの構築が目標。同市プロジェクト推進課は「小さな自治体にとっ
て、大学が持つ知識やノウハウへの期待は大きい。市政全般に力を借りて、地
域間競争で生き残れる特色づくりを進めたい」と話す。

 豊和銀行は各地の支店で、中小事業者など顧客を対象に、大学教員による出
張なんでも技術相談会を開いている。「接する機会がない大学の先生に話を聞
いてもらえ、参考になった」「敷居が高い大学のイメージが変わった」と好評。
銀行側も「顧客サービスにつながっている」と喜ぶ。

 協定は県内の全市など、今後も増やしていく方針。

 社会連携担当の羽野忠理事(副学長)は「大分県の発展なくして、大分大の
発展もない。協定は地域に根差した大学となる一歩」としている。

来月2日に討論会

 地域の産学官連携を考えるパネルディスカッションが六月二日、大分大学工
学部で開かれる。同大の地域共同研究センターの十周年記念事業。

 午後一時半から。文部科学省と経済産業省の担当者が、産学官連携に関する
施策を説明。九州の各国立大学が、それぞれの産学官連携組織や取り組みの特
色、課題などについて話す。

 「これからの大分県における地域産学官連携」と題して、パネルディスカッ
ション。大分大の羽野忠理事、角野然生県商工労働部長、県内企業の社長ら五
人がパネリストとなり、産学官連携がうまく機能するための課題と方策を探る。

 参加無料だが、申し込みが必要。問い合わせは地域共同研究センター(TEL0
97・554・7981)。