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新首都圏ネットワーク


『山形新聞』2005年5月4日付

山形大の次期学長選出、選挙から選考へ−16日に公示


 山形大は、現学長の任期満了(8月31日)に伴い、独立行政法人化移行後初め
ての学長選を5月31日に実施する。800人を超す受験生の合否を誤った入試判定
ミスをめぐる前任者の引責辞任から4年。投票はするが、学外委員を含む「学長
選考会議」が最終決定するほか、有権者数が一気に拡大されるのが大きな変更
点だ。地域教育文化学部発足後としても初。継続か、新路線か。次代のかじ取
り役選びに注目が集まる。

 今回から学長選は「選挙」ではなく「選考」に変わった。国立大学法人法の
規定のためだ。

 山形大の選考の流れは、まず6学部の教授会が「候補適任者」を2人以内の範
囲で推薦。適任者を学内にとどめず、学外の有識者も加えている点までは、ほ
ぼこれまでと同じだ。

 従来の場合だと、ここからはすべて投票。1回目で有効投票の過半数を得た候
補者がいない場合は、上位2候補による決選投票を行って次期学長を決めていた。

 しかし今回は投票により上位3人を選出するが、その後は学長選考会議の協議
に委ねられる。今回から選挙ととらえず、投票を「学内意向聴取」と呼んでい
るのもこのためだ。

 学長選考会議は大学の経営面を審議するため新たに登場した「経営協議会」
と、教育研究面を審議する「教育研究評議会」のメンバー7人ずつで構成。基本
的には話し合いで上位3人の中から学長を選出するが、一本化できない場合は、
ここでも投票になる。

 経営協議会からは半数を占める学外メンバーが選考にかかわるため、地域に
開かれた大学への期待が高まる。一方で、選考結果によっては学内の意見が反
映されていないとして混乱を招く可能性を指摘する声もある。

 また、特筆されるのは、投票資格者(=有権者)の拡大。教職員の意向を最
大限に反映する意味合いから教授、助教授、講師に加え、今回から助手、課長
補佐級以上の事務職員にまで広げた。これにより、有権者は従来の1.4倍にあた
る約850人に増えた。

 各学部から推薦された候補適任者は、16日に公示。30日に投票され、31日の
学長選考会議で選出の運びになる。

 就任は9月1日。山形大は任期について、1期目は4年、通算6年と独自に規定し
ており、仙道富士郎学長が続投になれば、任期は再来年8月31日までとなる。