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新首都圏ネットワーク


『読売新聞』2005年5月2日付

博士号は得たけれど「ポスドク」激増で就職難


 博士号を取得したものの、定職に就けない「ポストドクター」(ポスドク)
が、2004年度に1万2500人に達したことが、文部科学省が初めて実施
した実態調査で明らかになった。

 2003年度は約1万200人で、1年間で約2300人も増えている。

 年齢別では約8%が40歳以上で“高齢化”が進んでいる。大学助手など正
規の就職先が見つからず、空席待ちが長引いていると見られる。さらに、社会
保険の加入状況から推定すると、常勤研究者並みの待遇のポスドクは半数程度
しかいないと見られ、経済的に苦しい状態も裏付けられた。

 政府はこれまで、国内の研究者層を厚くするため、大学院の定員拡大などポ
スドク量産を推進してきた。しかし、研究職はさほど増えておらず、その弊害
が出た形だ。多くは研究職志望で進路が少なく、企業も「視野が狭い」などと
採用に消極的で、不安定な身分が問題化している場合が多い。

 ◆ポストドクター=博士号(ドクター)を取得した後、専任の職に就くまで
の間、大学などに籍を置いて研究を続ける若手研究者。公募型の研究費を得た
り任期付きで給与をもらったりして生活している例が多い。