|
『毎日新聞』島根版 2005年4月28日付 島根大:新技術研究開発部門事業、2年計画で官学が連携 ◇産業創出や若手研究者の育成、県の寄付額は2000万円−−材料工学の 権威、前阪大大学院教授の吉野さんを招く 島根大は今年度から、県の寄付を受けてナノテクノロジーなどの最先端技術 を開発する「県連携新技術研究開発部門」を始めた。2年間の計画で、寄付額 は2000万円。官学が連携して全国でもトップクラスの研究者を招き、県内 の新産業創出や若手研究者の育成を行うのが狙い。 地方財政法の規制緩和(02年)により、地域に還元できる事業に限って地 方自治体が国立大にも寄付を行えるようになったことから島根大でも始めた。 全国では岩手大などに次いで4例目。 プラズマテレビや液晶テレビなどに使われているLSI(大規模集積回路) などナノ(10億分の1)メートルサイズの極小構造を持つ機器の研究開発や、 銅や銀などの金属よりも素早く熱を伝えるための新材料開発など、最先端の電 子工学、物性工学の研究を行う。特許などの成果は島根大が所有するが、民間 への技術移転は県内の企業を優先していく。 研究者には、物性物理や材料工学の権威である、吉野勝美・前大阪大大学院 教授(63)を招いた。松江市玉湯町出身の吉野氏は日本液晶学会長や同大低 温センター長を歴任し、今年3月に退官。昨秋に県から要請を受け「研究をや めるつもりはさらさらなかった」と快諾した。当面は助手との2人で研究に当 たる。 島根大で会見した吉野氏は、ケイ素の微細な玉をつなげて作った人工のオパー ルを手にとって見せながら専門分野の魅力を語り「(物性物理の)基本的原理 や特許につながる概念が将来、出てくる可能性もある。出身者として島根のた めに頑張りたい」と話した。【酒造唯】 |