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新首都圏ネットワーク


『建通新聞』2005年4月25日付

「先端」に加え「社会的技術」に重点 次期科学技術基本計画


 国土交通省の国土交通技術会議(委員長、中村英夫武蔵工業大学学長)は21
日、政府が17年度に策定する「第3期科学技術基本計画」に、防災・安全、基
盤再生・革新、環境を柱とした社会的技術(技術の種を社会のニーズに適用す
る技術)を位置付けるべき、だと訴える提言をまとめた。これまで大きなウエー
ト占めていた先端的科学技術だけではなく、より暮らしの課題解決に密接な社
会的技術の比重を高めるよう求めている。

 政府の総合科学技術会議では、科学技術の振興施策の基本的方向を盛り込む、
第3期科学技術基本計画(18〜22年度)策定の検討を進めている。国交省でも、
国土交通分野の研究領域について議論するため、3月に国土交通技術会議を設
置し、2回の議論を踏まえて提言をまとめた。

 提言では、「これまでの科学技術基本計画は(ライフサイエンス、情報通信、
ナノテクノロジー・材料などの)先端的科学技術に偏重し、技術の成果を国民
に還元する視点が不足していた」と指摘。次期計画には、先端的科学技術の成
果を有効に融合・活用した社会的技術も重点分野に位置付けるべきだとした。

 具体的には「防災・安全」(地震・噴火・洪水などの被害軽減技術)、「基
盤再生・革新」(ストックの診断・解体・再生技術)、「環境」(環境負荷の
小さい地域社会の形成技術)−の三つの領域を取り上げ、各領域ごとに「暮ら
しを支える科学技術政策」(個別課題)を例示した。このうち環境について見
ると、資源・エネルギー循環、自然資源の有効活用、環境低負荷型の都市・交
通・輸送、ヒートアイランド対策などを個別課題に挙げている。

 さらに、産学官民が協力して課題に取り組みことで、国内だけではなく、ア
ジア各国にも成果を還元すべきだと提案した。

 国交省では、今回の提言を政府の総合科学技術会議に報告。その後、提言を
踏まえながら、基本計画に盛り込むべき個別課題を精査していく。