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新首都圏ネットワーク


『朝日新聞』2005年4月16日付

博士課程2年は無料 北大工学科「世界に通じる若手に」


 北海道大学の大学院工学研究科が今年度から、博士課程の院生に授業料相当
額を2年間助成する新制度を導入した。同時に、修士・博士両課程で通常5年
の修業年限を、3〜4年に短縮できるようカリキュラムを再編。修士課程を終
えただけで就職する院生が多い現状に歯止めをかけ、「若き博士」を社会に送
り出す大学院への転換を図る。

 北大や国立大学協会によると、成績優秀者など一部学生の授業料を免除して
いる大学はあるが、一律実質無料は、国公立の大学では例がないという。

 授業料(年額53万5800円)相当額を助成する対象は、企業や国から報
酬を得ている社会人学生や研究員を除く一般院生全員。今年度は博士課程1年
次の約40人が該当する。

 授業料はいったん納めてもらうが、研究補助員として採用して、相当額を報
酬の形で支給する。財源には、企業や自治体からの受託研究費や奨学寄付金な
どを充てる。

 通常は修士課程2年、博士課程3年で、博士号の取得は早くて27歳。しか
し企業では待遇に大差がなく、むしろ若い修士を歓迎する傾向があるという。

 日本では博士号をとっても、大学などの研究者になれる人数は限られるため、
修士を終えて就職する院生が多い。しかし、米国などでは博士号の評価は企業
などでも高く、国際的に活躍するためには求められる資格だ。

 中山恒義・工学研究科長は「博士課程の概念そのものを変えることで、世界
に通用する25〜26歳の博士を育てたい。経済的な支援を受け勉学に集中で
きれば、博士論文を2年で仕上げることは十分に可能」と話している。