トップへ戻る  以前の記事は、こちらの更新記事履歴
新首都圏ネットワーク


『沖縄タイムス』2005年4月14日付

琉大学長任命差し戻し/文科省「初歩的ミス」
任期1年10カ月→法「2年以上」/延長し再上申へ


 二月に行われた琉球大学の学長選考で、三選された森田孟進氏の任期が国立
大学法人法で定められた「二年以上」に満たず、文部科学省から任命申し出が
差し戻されていたことが十三日までに分かった。同大では学長選考規則で、現
職の森田氏が再選された場合の任期は一年十カ月としていた。同省によると
「初歩的なミス。同様なケースは聞いたことがない」(人事課)という。同大
では、学長を選出した選考会議の委員らから「任期の二カ月延長」の同意を取
り付け、現在の任期が切れる五月三十一日までに再度、上申するとしている。

 国立大学法人法は、学長任期を「二年以上六年を超えない範囲内」と規定し
ている。

 法人化前は各大が独自に選考方法を定めていたが、法人化後は新設の学長選
考会議が決める方式に変更された。

 琉大の選考会議は、選考規則の本則では学長任期を法律通りの条文としてい
るが、附則で森田氏三選の場合は六月一日から二〇〇七年三月三十一日まで
(一年十カ月)としていた。

 選考会議は、教職員による投票の結果を参考に森田氏の三選を決定。

 国立大学法人法で文科大臣の任命手続きが求められており、三月四日に上申
したところ、四月初めに同省から口頭で、差し戻しが伝えられた。

 選考会議の新城俊也議長(当時・農学部長、三月三十一日で退職)は、任期
末を三月三十一日付とした理由について「年度末で区切りがよく、学長任命の
理事ポストへの人事異動などが円滑になる。法人化前から年度末に合わせるこ
とが課題とされていた」と説明。「選考委員の間で法律に抵触することについ
て、全く議題にならなかった」という。

 選考会議は学内から選ばれた九人、学外の七人による計十六人で構成。元文
部事務次官や弁護士、元国立大学長、法律家なども含まれている。森田氏は一
九九九年に学長に就任し、現在二期目。

[解説]審議非公開遠因に

 琉球大学の森田孟進学長の三選が文科省によって差し戻されたのは、国立大
学法人法に明示された任期規定に抵触する初歩的なミスからだ。

 学長選考会議は昨年七月から六回にわたり議論を重ね、選考規則を策定した。
その間、議事録を公開せず、審議の詳細を推薦権や投票権を持つ学内者らにも
伝えないまま決定。投票日までのスケジュールも直前まで知らされず、教職員
労組が強く反発していた経緯がある。

 審議の途中経過を広く学内者の目に触れさせていれば、今回のようなミスを
防げた可能性があり、密室性が遠因になったことは否定できない。

 ただ元文部事務次官や元国立大学長らが選考委員となる中で、なぜ誤りが起
きたのか。琉大の信頼回復に向けては議事録を公開し、広く県民に説明責任を
果たすことが求められよう。(社会部・与那嶺功)