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新首都圏ネットワーク


『日刊ゲンダイ』2005年4月2日付

コンビニ 公共施設を狙え!

 コンビニのオープンに総長現る!

 東京大学の安田講堂。もちろん、大学紛争の話じゃない。その脇にあるレン
ガづくりの建物に店舗を構えたコンビニ大手・ローソン。東大の佐々木毅総長
が31日のオープンセレモニーに列席し、テープカットを行ったわけだ。国立
大初の24時間営業である。

 このところ大学や病院、自治体など公共施設内でコンビニが急増中だ。「新
しい有望マーケット」と期待が大きくコンビニの競争も激しい。東大の場合7
社が応募。ローソンは東大に長年入っている生協を競り落とした。

 「建物の景観を残しながら店づくりをしたこと、食に対する安全性へのこだ
わりが大学から評価をいただいたと受け止めています」(ローソン広報担当)
と勝因を振り返る。

 店舗の特性を生かすローソン得意の“個店主義”や健康を重視したナチュラ
ルローソンのノウハウが生きた。

 だが、そのローソンも東京都庁内のコンペでは負けた。勝ったのはセブン―
イレブン。同社広報担当はこう指摘する。

 「都庁の要望の一つは、オリジナル商品の開発力でした。大ヒットしたおに
ぎりの実績が裏付けとなったのかもしれません。省エネも重要な要素で、当社
のお弁当設備やドリンク什器を気に入っていただけたようです」

 賃料の多寡より、募集側のコンセプトにいかに沿うプレゼンであるかが決め
手になるようだ。

 気になるのは、こうした公共施設で商売になるのか。大学では長期間の休み
が多く、その間キャンパスの学生数は激減する。「東大では研究者も多く心配
はないとみています」(前出のローソン広報担当)

 一方、都庁のセブン―イレブンの営業時間は朝7〜夜11時。土日祝は休み。
それでも「コンビニ業界の平均的な売上高より多い」(前出のセブン―イレブ
ン広報担当)というからなかなか。

 「キャンパスもビルも閉鎖されたエリアで、ライバルがほとんどいない。売
れ行きの予測を立てやすいので安定した数字を残せそうです」

 法人化で裁量が拡大する公共機関。ビジネスチャンスを逃す手はない。