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nikkei.bp 2005年4月4日付 「勝ち組と負け組に二局化」、大学発ベンチャー企業調査 筑波大学と横浜国立大学は、「平成16年度大学等発ベンチャー 第二次調査 結果について」を2005年3月29日に公表した。この大学発ベンチャー企業の全国 調査は平成12年度(2000年度)に始め、毎年度実施され、今回の平成16年度 (2004年度)で5回目の調査となる。この調査・分析報告は、筑波大産学リエゾ ン共同研究センターの菊本虔教授と新谷由紀講師、横浜国立大学大学院の近藤 正幸教授の共同研究成果である。 平成16年度の大学発ベンチャー企業の平均像は、資本金が平均1億3000万円、 社員数が同9.7人、売上高が同1億900万円、経常利益が同−170万円となった。 資本金は昨年度の9300万円より、約40%増と順調に伸びたが、社員数と売上高 は若干増えた程度だった。売上高は、「100万円以上〜 1000万未満」と「1000 万円以上〜3000万円未満」がそれぞれ21%と前年度比でいくらか増えた結果と なった。経常利益も−170万円と前年度の −300万円に比べて若干改善した。経 常利益−100万円未満の企業が35%を占めた。 その一方で、社員数が「1〜4人」が前年度の36%から今回の41%と増えたり、 経常利益が「−100万円未満」が前年度23%から今回の35%とかなり増えた。ま た、経常利益が赤字の企業数が前年度の29%から今回の44%と激しく増えた。 順調に成長して収益を上げる大学ベンチャー企業と、成長できず停滞している 赤字定着型の企業とに二局化していると分析できる。 回答した企業の分野別は、バイオ・ライフサイエンス分野33%、情報通信分 野14%、電子・機械分野13%、ナノテクノロジー・材料分野10%となった。前 年に比べて、バイオ・ライフサイエンス分野が前年度29%から増えたのに対し て、情報通信分野は前年度18%から減少し、大学発ベンチャー企業は分野によっ て対照的な動向を示した。 バイオ・ライフサイエンス分野と情報通信分野で、資本金、売上高、経常利 益についてみてみると、資本金はバイオ・ライフサイエンス分野では「1億円以 上〜10億円未満」が最も多い27%だったのに対して、情報通信分野では「1000 万円〜3000万円未満」が最も多い31%だった。情報通信分野の企業は少額の資 本金で経営されていることが分かる。 売上高は、バイオ・ライフサイエンス分野では「1000万円〜3000万円未満」 が最も多い28%だったのに対して、情報通信分野では「1億円以上〜5億円未満」 が22%、「5000万円以上〜1億円未満」が19%と合計41%となった。バイオ・ラ イフサイエンス分野は資本金が多い割に売上高は小さく、逆に情報通信分野は 資本金が小さい割に売上高が大きいことが明らかになった。その一方で、バイ オ・ライフサイエンス分野だけに、売上高10億円以上・経常利益 1億円以上の 企業もあり、栄枯盛衰が激しい分野といえる。 経常利益は、バイオ・ライフサイエンス分野では「−100万円未満」が最も多 い46%だったのに対して、情報通信分野では「0円以上〜100万円未満」が36%、 「100万円以上〜1000万円未満」が32%と黒字企業がかなり多いことが分かった。 一方、バイオ・ライフサイエンス分野は経常利益が赤字の企業が56%と、前年 度の 36%から急増した。その半面、経常利益1億円以上の黒字企業が4%に達し た。 今回の公表した調査結果は、文部科学省の「平成16年度21世紀型産学官連携 手法の構築に係るモデルプログラム成果報告書」に記載される「大学等発ベン チャーの課題と推進方策に関する調査研究」の一部を速報したものである。 (丸山 正明=産学連携事務局編集委員) |