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新首都圏ネットワーク


『京都新聞』2005年4月1日付

学長の任命、取り消し求め提訴 滋賀医科大で全国初


 滋賀医科大(大津市)の昨年12月の学長選考で、学長選考会議による教職
員への意向聴取投票の結果を反映させずに吉川隆一学長(66)を再任したのは違
法として、投票で吉川学長の得票数を上回った野田洋一教授(62)と講師らが1
日、国と同大学を相手に、文部科学大臣の学長任命の取り消しなどを求める訴
えを大津地裁に起こした。

 原告側の代理人によると、国立大学長の任命取り消しを求める訴訟は全国で
初めて、という。

 訴状によると、同会議は吉川学長が3月末で任期満了になるため、12月に
教職員443人を対象に意向聴取投票を実施した。投票数325票のうち、吉
川学長は131票、野田教授は188票だったが、同会議は最終選考で吉川学
長の再任を決めた。同大学が文部科学大臣に申し出をし、大臣は4月1日付で
吉川学長を任命した。

 原告は「投票結果と異なる決定は、学長選考手続きを定めた実施細則に違反
し、同会議は裁量権を逸脱、乱用している」と主張、同大学の申し出の取り消
しなどを求めている。また、名誉権などを侵害されたとして、同大学に143
0万円の慰謝料の支払いも求めている。

 滋賀医大総務課は「投票はあくまで選考の参考にするものだ」とし、文科省
人事課は「学長任命の取り消し訴訟は聞いたことがない。選考会議には学外者
もおり、学長の続投が望ましいと総合的に判断したと考える」としている。