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『北日本新聞』社説 2005年3月31日付 富山大・北銀提携/「産学金」で地域振興を 富山大学と北陸銀行(富山市堤町通り)が、産学連携の推進やベンチャー企 業育成など広範な分野で包括提携した。地元の企業と緊密な関係にある金融機 関が取引先と大学の橋渡し役を務めることで、大学の研究成果などの有効活用 を促し、産業振興や地域経済の活性化につなげてほしい。 提携は、富山大の研究成果や学術情報と企業ニーズを結びつけるビジネスマッ チングや、特許など知的財産を活用したベンチャービジネスの育成に関する支 援、協力が柱だ。企業向けの技術相談や共同研究の活発化も期待でき、研究の 事業化にも大きく道を開くことになる。 産学連携の重要性が叫ばれるようになって久しい。しかし、大手など一部の 企業を除き、特に中小企業から「大学はまだまだ敷居が高い」という声が聞か れる。両者の間に、経営や技術上の悩みや課題を気軽に相談したり、解決策を 提案するような関係が広く築かれているとは言えない。 富山大も地域共同研究センターなどを拠点に産学連携に取り組んできたが、 「かゆいところに手が届いていなかった」(滝沢弘富山大学長)という。一般 に大学教官の中に、利益を追求する企業との協力が「純粋な研究を阻害する」 という考え方がいまだにあるのも事実だ。 今回の提携で、高度なビジネスノウハウと幅広い支店網を持つ北銀が大学と 企業をつなぐ窓口となることで、両者の距離はぐっと縮まる。そこには融資や 投資など資金の需給も生まれる。従来の「産学」に「金融」を加えた"産学金" の連携は、地域の産業振興へ向けた新たな枠組みとも言える。 国立大は少子化や独立行政法人化を背景に厳しい生き残り競争にさらされ、 地域金融機関も中小企業支援の強化などを求められており、ともに地域貢献が 大きな使命となっている。法人化で研究費の調達が課題の大学にとっては企業 との共同研究の活性化は、外部資金の導入や研究テーマ発掘にもつながる。仲 介する金融機関も大学という新たな市場を創造できる。 北陸や県内では、今回の提携以外にも大学と金融機関が連携を模索する動き もある。こうした動向が産学連携を一層推進し、目に見える成果を上げていく ことを期待したい。 |