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新首都圏ネットワーク


『北國新聞』社説 2005年3月31日付

金大評価室 地域からの視線大事に


 金大が第三者機関による外部評価に対応するため「評価室」を設けたことは、
法人化に伴って、国立大学にも「淘汰の時代」が訪れたことを意味し、十月に
国立三大学が統合して発足する新・富山大学も同様に、態勢づくりを急がねば
ならない。同時に各大学には、地域から向けられる視線を大事にし、地域から
の評価・支持を大学存立の背骨にするぐらいの気構えを持つことを期待したい。

 金大や富大、富山医薬大、高岡短大は、〇四年度を初年度とする六年間の中
期目標・中期計画を国に提出しており、文部科学省の国立大学法人評価委員会
が、各年度と期間ごとに業務実績評価、総合評価を行う。教育研究面は独立行
政法人大学評価・学位授与機構、経営面は総務省の政策評価・独立行政法人評
価委員会が評価を担当し、結果を公表する。

 金大の評価室は、こうした外部評価への学内準備と、高い評価を受けるため
の対策立案、さらに内部評価も実施するなど、大学の魅力づくりに当たる。外
部評価が運営費交付金算定に反映され、高い評価を得ないと少子化も背景とし
て学生数の確保などにも影響し、マイナスのスパイラルを招きかねないからで
ある。

 ただ、こうした外部評価でも絶対的な尺度はない。学生や研究者から見ての
魅力とともに、各大学が、その地域になくてはならない存在としての機能を有
するかも、これからの時代では大きなポイントとなる。

 金大は中期目標の基本理念で「地域と世界に開かれた大学」をうたい、中期
計画に、県や金沢市と連携し、大学版「金沢学」といえる日本文化体験型の教
育プログラムの充実を図るなどの取り組みを盛り込む。既に全国区の位置を確
たるものにしている医学系でも、附属病院を核に地域医療支援ネットワークの
構築など、地域に貢献する姿勢を鮮明にしている。富大も理念は金大と同様だ。
富山医薬大は地元の薬業界との連携、高岡短大は地域ビジネス専攻課程での地
域ニーズに即した教育などを打ち出す。

 中期目標・中期計画における金大や富山各大の地域重視は頼もしく映る。地
域とともに歩む姿勢を一段と強め、地域の信頼と支持を得て、存立の基盤を固
めてもらいたい。