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新首都圏ネットワーク


『毎日新聞』北海道版 2005年3月29日付

北海道大学:経営協議会委員・松田昌士さんに聞く /北海道

 ◇農業と観光分野重視を

 国立大が法人化されて4月で1年になる。規制が緩和され、大学の裁量が広
がる一方で、大学の責任も重くなった。また、少子化や国際化で大学の生き残
り競争も激しさを増す。北海道大学経営協議会委員の松田昌士JR東日本会長
(69)は、毎日新聞のインタビューに応じ、北大が目指す姿について「農業
と観光の分野を重視した大学」と述べた。また、道内の他大学と学生や教職員
の交流の活発化を訴えた。経営協議会は大学経営の重要事項を審議する。松田
氏は各分野で発言力が大きく、今後の大学運営に影響を与えそうだ。【田中泰
義】

 −−この1年で北大は変わったか。

 ◆ようやく法人化に移行した段階で評価できる段階ではないが、(文部科学
省の意見を聞いていた従来と比べ)自由度が増した。一方、大学は学生が減り、
民間のようにつぶれるかもしれない。北大も特徴を出して存在感を示していか
なければならない。

 −−法人化され生き残り競争が激しくなっている。どの分野で魅力を出して
いくべきか。

 ◆ 人の後を追ってもだめだ。北海道が他より優れているのは農業と観光だ。
食の本物志向が国内外で高まり、農業に取り組む機運が整ってきた。北大は研
究や技術指導に加え、農業を魅力ある産業に育てるシステムづくりに取り組む
べきだ。今、ITが注目されるが、それ自体の研究ではなく、ITを使った農
業の近代化など新たな要素を付けることを考えるべきだ。

 −−休学する学生は年間400人近くいる。意欲を高める教育が必要になっ
ている。

 ◆ 大学入学後、自分がやるべき専門が当初の思いと異なる場合がある。学部
を自由に変更できるようにすべきだ。また、卒業生の大半は学者にならない。
研究者を育てることは重要だが、企業で働く人材育成も重要だ。教職員は教育
担当、研究担当と分け、教育の内容を充実させてほしい。

 ■人物略歴

 ◇松田昌士氏(まつだ・まさたけ)

 1961年北大大学院法学研究科修士課程修了。04年4月から北大経営協
議会委員。任期は2年間。