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新首都圏ネットワーク


『朝日新聞』2005年3月28日付

独立行政法人評価委員、評価対象から95人が2億円受給


 独立行政法人(独法)の業績を評価するため、所管する各府省ごとに置かれ
た評価委員会の委員ら95人が、評価対象の独法から手当や助成金など総額2
億円以上をもらっていたことが28日、分かった。外部による事後評価を最大
の特徴にする独法だが、「評価対象と利害関係があることになり、お手盛り評
価になる危険性がある」などの疑問の声が上がっている。

 民主党の尾立源幸参院議員の調査で分かった。同日午前の参院財政金融委員
会でも取り上げた。

 それによると、今年2月上旬の時点で、手当などを受け取っていた委員が最
も多かったのは文部科学省。委員46人が計約1億5000万円を受給してい
た。委員に多い研究関係者が、同省所管の独法から交付された科学研究費補助
金などが大部分を占めるとみられる。

 手当の名目で多かったのが、各独法の運営委員会や審議会への参加の謝礼金
や、独法が主催するシンポジウムの講師としての講演料だった。

 1000万円以上の研究費を受け取っていた委員も8人ほどいた。文科省の
評価委員の一人は研究費などとして約4700万円を受給していた。

 評価委員の一人は「独法からもらっている仕事とは別。独法への評価には影
響ない」と話す。府省側も「ほとんどが第三者の立場から技術の評価手法など
を検討してもらうため。独法側の立場に立つものとは性格が異なる」(経済産
業省)などとしている。

 だが自分の研究室が、ある独法から100万円単位の助成金を受給している
委員は「評価委員就任前から研究を支援してもらっている。正直、『辛口』な
意見は言いにくい」と打ち明ける。

 総務省の政策評価・独法評価委員会の委員の一人は「国民から、評価の客観
性が疑われるし、お手盛りで終わる危険性もある」と指摘する。

      ◇      ◇

 〈独立行政法人評価委員会〉 国が定める独法の業務運営の中期目標に基づ
き、各府省ごとに所管する独法の計画達成度を評価する。特殊法人が事前に予
算で縛ることで行政の効率性が損なわれた反省から、事後評価を重視するよう
導入された。目標が達成できなければ独法トップの人事や組織存続にも影響さ
せることができる。委員や臨時委員などとして、10府省で約550人の民間
の有識者が参加している。